理学部物理科学科のスペシャリスト支援プログラムの一環としてSPring-8で実習を行いました

2019.12.18

理学部物理科学科では3年次以上の意欲ある学生を対象に、より進んだ実験技術を学ぶスペシャリスト支援プログラム(実験)を実施しています。素粒子・原子核分野に興味がある学生に対して、同分野での研究に必須である放射線計測について実習してきました。

9月から放射線計測の基礎を学内の実験室で学び、自分たちで組み立てた実験装置を使って宇宙線ミュー粒子の測定を行なってきました。スペシャリスト支援プログラムの仕上げとして、11月30日にSPring-8加速器にこれらの検出器を持ち込んで実験を行いました。実施には大阪大学核物理研究センターから教育用ビームタイムを提供して頂きました。

SPring-8の高エネルギーガンマ線ビームライン(BL33LEP)で供給されるガンマ線を鉛標的にあてると電子と陽電子が生成されます。これらの電子・陽電子は加速器の加速周期と同期しており、到来時間のばらつきが約15ピコ秒と非常に小さいことが特徴です。この特徴を活かして検出器の時間分解能測定を行う手法を学びました。

3年生という今後の進路を考える上でも重要な時期に、良い経験になったのではないかと思います。実験に参加をした学生のコメントを紹介します。

加納 慶流さんのコメント

今回、大学では目に見えない宇宙線の速度を測定する実験を行いました。検出器を作成するところから始めましたが、実際に検出できた時はとても嬉しかったです。最後に検出器の性能を調べるためにSPring-8で実験を行いましたが、加速器を使うことができ、とてもいい経験をすることができました。

戸部 晃久さんのコメント

秋学期のはじめから約3ヶ月間一つの実験に取り組むという貴重な経験ができたことは今後の勉学の励みとなると感じました。来年の特別研究を具体的にイメージする良い機会となりました。SPring-8には初めて行き、ビームを使った実験ができたことは刺激的でした。

和氣 達也さんのコメント

素粒子・原子核物理学に関する本格的な実験は、スペシャリスト支援プログラムで初めてするので新鮮で楽しかったです。また、SPring-8では見たこともないような巨大な実験装置を見たり、触ったりすることができたので、実際に現代の物理学の実験の現場をみることができたので行って良かったなと思いました。

用語解説

SPring-8加速器…SPring-8は兵庫県西播磨にある電子加速器施設です。ここでは物質・生命科学に加えて、原子核やハドロンの研究を行なっています。
実習風景1 放射線検出器をビームラインに設置している様子
実習風景2 放射線検出器からの信号をオシロスコープで確認している様子
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