マラード宇宙科学研究所サイエンス実習実施報告会を開催しました

2018.10.03

10月3日(水)の3時限目に、理学部マラード宇宙科学研究所サイエンス実習(8月30日~9月9日)の報告会を実施しました。このプログラムに参加した理学部の3名の学生が、イギリスで実施された留学プログラムについて発表しました。

この留学プログラムは主に、3日間のロンドン市内社会研修、5日間のマラード宇宙科学研究所での研究とその期間中のホームステイから構成されています。
まず、ロンドン市内社会研修は、英語を駆使して、自分たちの力でロンドンに滞在することが目的で、学生たちは訪れた天文台・博物館のことなど魅力的に感じた物事について、写真とともに紹介してくれました。研究所での本格的な実習を前に、この研修をとおして英語への肩慣らしができたようです。

5日間のマラード宇宙科学研究所での研究は、学生1人に対して研究所の大学院生1人が指導担当となり、その大学院生の研究の一端を体験する形で、学生それぞれが全く違うテーマの研究(カー・ニューマン ブラックホールの観測的特徴に迫るための周辺の光の軌道計算、火星表面に打ち込むペネトレーターの画像データをもとにしたペネトレーター着地地点の推定、位置天文衛星ガイアの観測データを用いた新たな星団の検出)に取り組みました。
通常の研究活動と比べれば短い時間ではありましたが、その中でも学生たちは普段の大学での講義・実験・実習などと異なり、一人一人が個別の新しい研究テーマに対して、手計算を駆使しながら軌道計算のプログラムを作成し実際に計算を行ったり、高精度のシミュレーションデータをもとに将来の探査計画で必要となるデータ解析手法の開発に触れたり、また最新の観測データと最新の解析手法を駆使して未発見の天体発見に取り組んだりと、実際にマラード宇宙科学研究所で行われている研究プロジェクトの一端を体験することができました。また、実習中は、指導担当の大学院生や周りの研究者の方々にとても暖かく対応していただいたおかげで、気軽に何でも質問できたようです。更には、マラード宇宙科学研究所の大学院生が実施するセミナーが開催され、そこで新たな交流もあったようです。最終日にはそれぞれが研究成果のプレゼンテーションを英語で行い、堂々とした発表を行うことができたようでした。
また、おまけとして、台風21号の影響により一日香港での滞在を余儀なくされましたが、リフレッシュできたことも話してくれました。予想をしていなかったこととはいえ、このようなトラブルへの対応を経て、一回りも二回りも成長した参加者の姿を見ることができました。

報告会の最後には質疑応答の時間が設けられました。出席者から「この実習で学んだことを今後どのようなことに活かしたいですか?」という質問に対して、参加者の1人から「今後、物理学の中でも実験を中心に学んでいくのか、理論を中心に学んでいくのか悩んでいた。この実習では理論系の内容を体験することができたので、今後の研究室選択の方向性を考えることができた」という回答がありました。この実習が学生の勉学に対するモチベーションの向上に結びついたようでした。また、「自分の今行っている研究で、未知の天体が発見できるかもしれない、と思うことで生じる高揚感は何物にも変えがたい貴重な体験だった」という感想もあり、この実習がサイエンスそのものの面白さを再確認する場ともなっていたようでした。

報告会に参加してくれた学生からも「”サイエンス実習”という名前なので、ずっと研究をしていたり、もっと難しかったりというのを想像していましたが、実際はいろいろな場所に社会研修にも行かれていて、先輩方がお話しされているときも本当に楽しそうでした。」「研究が難しいということに苦労されていたのかなと思っていましたが、そんなことはなく、英語や買い物で少し大変な時があったぐらいだと聞きました。実際の会話の難しさについてもすぐに慣れたり、現地の人が優しかったりと、とても充実した日々を送られていたことがわかりました。」「私もこのような貴重な経験ができる機会があれば、ぜひ参加したいと思いました。」といったような声が聞かれました。

専門や語学面での勉強はもちろん大事で、日本でも様々なことに取り組むことができます。しかし、ホームステイや研究所での人との関わりといった現地でしか味わえない経験をとおして、自ら積極的に挑戦する大切さを、このプログラムで身に付けてきたようでした。日本ではできない体験や経験をすることがこのプログラムの重要な目的の1つですが、その事を学生が自ら感じ取れたことが分かり、報告会を通じてこのプログラムが意義のあるものであったと感じることができました。

ホームステイでの体験を話す参加者
参加者が取り組んだ研究について説明
出席者の質問に答える様子
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