「アントレプレナー育成プログラム」は、全学部生が受講できる起業家精神育成プログラムだ。その科目である「アントレプレナーシップ演習A」で2人は出会い、起業を成し遂げた。
「同じプログラムを受講する仲間たちと、起業を実践して生まれたのがSOI cafeです」
SOI cafeとは、杉田が筆頭となってキャンパス内に開業したカフェだ。オープンから現在に至るまで、物資や機材の調達、メニュー考案、広報活動など全てを自分たちで実施。企業からの協賛も実現するほどに規模は拡大した。相当な苦労もあったはずだが、彼らの表情からはそれが見えない。その理由は、各自が自分の力を生かし、補い合っていたからだと松石は語る。
「私は、SNS運用やツール導入、仲間内での情報共有の仕組みを整えて、運営をスムーズに行うための環境づくりを担当しました。情報理工学部で学んだ知識や、システム開発のスキルが役立ちましたね」
メンバーは経済・経営・法・情報理工・生命科の5学部から成る。それぞれが持ち味を発揮し、カフェ運営に乗り出した。代表を務める杉田は、こう振り返る。
「私をはじめとする文系学生は、客層リサーチ、商品や企画のアイデア出しなどを担いました。理系学生の仲間たちは情報収集や情報発信に対する意識が高く、SNS やチャットアプリなどで常に最新の情報を収集、即座にチームに共有し、販促や商品企画へと展開していきます。特に松石さんの発信力がなければ、カフェの知名度も今ほど上がらなかったかもしれません」
理系学生から見た文系学生はどうだっただろうか。松石は答える。
「彼らはいつも先を見据えて現実的な経営戦略を考えていて、費用対効果への意識も高かった。本当に頼もしい仲間だと感じています。理屈より情熱で動く杉田さんのおかげで実現したイベントも多いんですよ」
異なる専門分野の人と協働して、新たな価値をうみだす。ワンキャンパスという環境も相まって、イノベーションを創出する力を養うのに「アントレプレナー育成プログラム」はうってつけだ。
「起業の経験と、同じ目標を分かち合える仲間。そんな何にも代え難い財産を2つも得られました」
※掲載内容は取材当時のものです。