外国語学部では海外実習や留学のプログラムが充実しているほか、学内にいながら異文化に触れるチャンスがいくつも用意されている。ネイティブスピーカーの教員が多く在籍していることもその1つだ。
「フランス出身の先生と話していると、今まで自分が思い描いていたフランス人像とは全く違うんだな、って」
観光大国であるフランスに憧れてこの専攻を選んだ後藤は、これまでの授業を振り返りながらそう切り出す。「言語の習得」は外国語学部の大前提だが、それ以上に異国の人との交流や異文化を知ることに価値がある、と後藤は続けた。
「特に印象的だったのは『フランス文化概論』という授業で触れた、フランス画家・ルノワールの絵画との出会いです」
女性を題材に描かれたシンプルな構図。それまで美術に関心がなかった後藤の心に何かが刺さった。この絵のコンセプトは何か、込められた思いとはどんなものか。そして、作者はどんな人物か。興味を駆り立てられるまま美術館へも足を運んだ。
「絵画を追究することは、知らない相手を理解しようとする行為に似ています」
実物の絵画を目の前にすると、写真で見ているだけでは気付かなかった表情や色がいくつも見えてくる。固定観念のなかでなんとなく作られた外国や外国人に対するイメージもそうではないか。
「絵画でも人物でも対話することでしか得られないものがあります。絵画を通して自分とはまったく違う文化の中で育ってきた人たちに対して興味が湧いたし、もっと相手を理解したいという気持ちが強くなりました」
凝り固まった価値観に揺さぶりをかける。「そのきっかけの1つが異文化交流なのかもしれません」
※掲載内容は取材当時のものです。