平成30年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」
1.「学習成果実感調査」についての分析結果
アンケートの回答率は73.7%(1754/2380)であった。「授業への出席率80 %以上」が全体の90%となっており、一部の学生を除いて高い出席率となっている。シラバスを活用している割合が65%であり、昨年の春学期と比較して大きく前進している。「この科目で学びの面白さを感じた」および「自らの成長を実感することができた」学生は、ともに全体の46%と約半数が肯定的な回答をしているが、昨年の春学期からは減少している。一方、そう思わない学生が、昨年の春学期とほぼ同様に全体で12%および出席率80%以上で10%存在している。学生が学びたいと考えていた内容と実際のカリキュラムとの不整合に依然として原因があるものと考えられる。また、実感調査対象科目の到達目標を60%以上達成できたと考えている学生は80%にのぼる。
(秋学期)アンケートの回答率は64.4%(1317/2045)であった。回答率が春学期に比べて下がっているのは、授業出席率の低下を意味している。「授業への出席率80 %以上」が全体の85%となっており、一部の学生を除いて高い出席率となっている。ただし、このアンケートに回答しているという時点で選択的に出席日数が多い学生が対象になっており、選択的効果が表れている可能性が高い。シラバスを活用している割合が65%であり、昨年の秋学期と比較して大きく前進している。「この科目で学びの面白さを感じた」および「自らの成長を実感することができた」学生は、全体の48%および49%と約半数が肯定的な回答をしている。一方、そう思わない学生が、ともに10%存在している。春学期同様に、学生が学びたいと考えていた内容と実際のカリキュラムとの不整合が見られるのではないかと考えられる。また、実感調査対象科目の到達目標を60%以上達成できたと考えている学生は81%にのぼる。
シラバスを活用している学生の割合が低いことが昨年度の課題であり、昨年度の年間報告書には「この点については昨年度から大きな改善を図ることができておらず、今後、更にガイダンス等での説明に時間をあてる必要がある。」と書いた。今年度は、シラバス活用の割合が春・秋学期とも大幅に伸びており、一定の成果が現れたものと考えられる。
また、昨年度にも課題とした「到達目標/理解度の数値化」については、昨年度に比べ回答率は若干上昇したものの、回答者の約4〜5割と低く、学生が到達目標を判断しかねている様子がうかがえる。コア科目等の到達目標を文章として提示しているが、その内容が具体的にどのレベルのことを意味するのか学生には判断できないためであろう。特にその傾向は、「実感調査対象科目が目的とする内容を理解できたか」の回答率が1割程度であることからも見て取れる。やはり定期的に小テストなどを実施して目標とするレベルを自己確認させる必要があるが、授業科目によっては授業時間的にもそうした対応が困難な場合もある。今後の課題であろう。
記述欄への記載が春学期に比べ秋学期には減少したような印象を受ける。授業に対しての肯定的な意見や自分の成長を確認している記述がある中、逆に留意すべきものとしては、次のような内容の記述がある。
- 科目名と内容に乖離があると訴えている。
- 春学期より数学の内容が抽象的になったことで困窮している。
- 数学の力不足のため、物理系の授業で苦労している。
- 板書の文字が小さい、読みにくいと訴えている。
- 講義科目と演習科目の間で連携が取れていないことを訴えている。
確認を要するものもあるが、丁寧な指導で解決できる事柄もあるように思える。
2. 「公開授業&ワークショップ」についての報告
(1)参加人数
- 「公開授業」:10月17日(水):力学B(山上 浩志 教授)参加教員6名
- 「ワークショップ」:10月17日(水)昼休み、教員7名、学生4名参加
(2)ワークショップでの意見交換内容
参加学生からは、「式変形が丁寧に書かれていて、わかりやすい」といった意見をはじめ、授業に対しては肯定的な感想が出された。この点に対して授業者からは、特に1年次生の必修ということもあり、心がけている点であるという説明があった。
そうすると参加教員から、「丁寧に説明することで板書量が増えるが、写真を撮ることは認めているか」という質問が出され、それに対して意見交換を行った。山上教授からは「禁止はしていないが寝ることがあるので書いて欲しい」と言っているとの説明があった。
今回のワークショップには、本年度初任の教員が全て参加していた。彼らにとっても、実りのあるワークショップとなったであろう。
3. 総括
(1)1. と2. において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所
(2)1. と2. において確認された改善すべき点
板書について、学生からの要望がある教員がいるので、注意を喚起したい。
4. 次年度に向けての取り組み
学生に対しては、記述欄へのさらなる記入を促すことにより、学びへのメタ認知を促すような工夫改善を行う。