平成30年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

外国語学部では、平成26年度に行った学科の再編がどのような教育的効果・成果を生み出してきたかを継続的に検証し、必要に応じた対応を迅速に取っていけるよう春学期に引き続き、全ての開講科目で学習成果実感調査を実施した。具体的には、660科目を調査対象とし、633科目で学習成果実感調査を実施した(実施率95.91%)。回答率は、76.16%であった。
外国語学部内で実施した大規模調査の分析は、春学期同様、秋学期も二段階で行った。具体的には「特別英語」・「英語学科」・「ヨーロッパ言語基幹科目」・「ドイツ語専攻」・「フランス語専攻」・「スペイン語専攻」・「イタリア語専攻」・「ロシア語専攻」・「メディア・コミュニケーション専攻」・「アジア言語基幹科目」・「中国語専攻」・「韓国語専攻」・「インドネシア語専攻」・「日本語コミュニケーション専攻」・「国際関係学科」の15セクションがそれぞれの開講科目を通じて学生たちから得た学習成果の実感を個別に検討する第一段階の分析と、その一次分析から外国語学部全体としてどのような傾向や改善点が見て取れるかを検討するという二次分析を行った。
セクション毎の若干のばらつきはあるものの、全体としては今回の学習成果実感調査の結果からも学生たちの肯定的評価や高い満足度が読み取れた。ただ、シラバスの活用度や出席率、満足度・面白さといった項目では、必修科目と選択科目の間で差が目立つようである。今後も学部全体で引き続き留意していく必要があると思える点は、学生たちの感じている高い満足度・達成感にも関わらず、絶対的な学習時間は必ずしも十分ではない様に見える点である。外国語学部では、2019年度より新しいカリキュラムが導入されるので、今後も提供している個々の授業の質をさらに高めていく努力をすると同時に、学生たちが自立的で主体的な学修を進めていく環境づくりを進めていきたい。

2. 「公開授業&ワークショップ」についての報告 

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:18科目49名参加
  2. 「ワークショップ」:50名参加
外国語学部は、国際関係学部の誕生による三言語系学部に生まれ変わる次年度(2019年度)以降を見据え、今年度の公開授業とワークショップを通じて「新生外国語学部」の教育プログラムの根幹となるディプロマ・ポリシー(DP)を専攻単位で検討・検証していった。学科・専攻ごとに1科目以上の公開授業の提供を計画したが、複数科目の公開授業を提供した学科・専攻も少なくなかったため、最終的に公開授業の数は、18科目となった。科目ごとの公開授業および学科・専攻単位でのワークショップは、個々の参加人数では結果的に小規模なものとなってしまったものの、多種多様な科目での公開授業の提供は授業担当教員の持つ問題意識の高さや授業改善の意欲を表し、総合計では公開授業49名、ワークショップ50名の教員が参加したことは学部教員間での問題意識の共有が進んでいることを意味していると考えている。

(2)ワークショップでの意見交換内容

上記2の(1)でも触れたように、今年度は主として学科・専攻単位でのワークショップという傾向が強くなったが、限られた人数であったがゆえに、今回のDPの検証というテーマに沿って忌憚のない議論ができたようである。授業の内容や目的と、学部のDPを再度意識しなおし、同僚からのコメントも参考に、各自が批判的に自身の授業の見直しができたセクションが多かったように思われる。その成果は、可能な限り、2019年度のシラバスに反映されていると期待している。

3. 総括

(1)1. と2. において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

特に1・2年時の基礎課程において語学を中心に学ぶ本学部の学びは、段階的に能力を育てていく点では短期的な到達目標がわかりやすく、学生たちにも成すべきことが明確で学びやすいと考えられる。また、対話を重視した双方向的な授業は、学生たちの理解度に合わせて微調整できる点で、教室でのより柔軟で、きめの細かい対応を可能にしていると評価する。

(2)1. と2. において確認された改善すべき点

上記1でも指摘したが、学生たちは学部で提供している授業に高い満足度・達成感を感じている一方で、授業外での自立的で主体的な学習時間は必ずしも十分ではない様に感じる。単独の授業の中だけで学部のDPを達成させることは困難なため、今後は授業間の連携と、授業とDPの連動をさらに意識し、4年間の学習期間を通じてどのような学生たちを育てていくのかという具体的な学修計画をより見えやすくすると、一層高い教育効果が望めるのではないかと期待する。

4. 次年度に向けての取り組み

今年度は、次年度より始まる新カリキュラムの基幹となる「複言語主義」の考え方を学部の教員が共有し、より深く理解し、各自が担当する授業の中でその考え方を実践していけるよう学部独自のFD研修会を主として春学期に複数回開催した。学外の専門家や有識者らによる講演会から得た理論的・実践的・具体的な知見は、秋学期の間に個々の教員ごとにしっかりと醸成され、2月27日(水)に開催した学部の教育シンポジウムでは、招待講師たちより本学部での一部の実践的な取り組みが高く評価もされた。この流れをこれで止めることなく、さらに深化・発展させるべく、次年度も実際の授業と平行して、「複言語主義」を主なテーマに設定し、より効果的な実践方法を継続して検討していきたいと考えている。
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