平成29年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

ゼミへの出席率・満足度とも高い水準を維持している。準備学習への取り組み時間は年次を追うごとにいずれの学科とも順調に伸び、学生がゼミでの活動を続けていくうちに、かなりのエネルギーをゼミに注ぐようになっていると推定できる。総評として、ゼミの運営が教員と学生の努力により大変良い状態で進んでいると結論できる。今後のよりいっそうの発展を目指し、来年度以降、入門セミナー、基礎演習に多くの専任教員を配置することになる。継続的な学びが強化され、より質の高い教育が実現すると予想される。

2.「公開授業&ワークショップ」についての成果報告

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:
    平成29年7月13日(木)3時限
    文学・芸術文化演習(織田 年和 教授)と思想文化演習(倉科 岳志 教授):教員3名
    平成29年11月30日(木)3時限
    京都文化演習(吉野 秋二 教授):教員3名
  2. 「ワークショップ」:
    平成29年5月17日(水)教授会終了後:教員12名
    平成29年12月1日(金)教授会終了後:教員6名

(2)ワークショップでの意見交換内容

文化学部の本年度の中心テーマであるゼミのあり方について議論した。

春学期:ゼミの中に「何を言っても構わない」という自由な雰囲気を作ること、学生の性格に応じて臨機応変に対応する必要については意見が一致した。そのほか、レポートなどの執筆要領の統一、マンツーマン指導、2時間連続でのゼミ運営、卒業レポート執筆スケジュール、卒論の義務化、3・4年生合同ゼミ、合同研究発表会、資料の信頼性や翻訳の問題など、議論のテーマは多岐にわたった。これらのアイデアのうち、実施しやすいものとして、今回は合同ゼミを公開授業として実施することとした。

秋学期:前日の公開授業をふまえ、意見交換が行われた。担当教員からは京都文化学科が設立されたことで意欲的な学生が増えたとの感想が述べられた。現地調査は時間割との関係でなかなか遠出ができず、行先が限定されてしまうという問題が明らかとなった。現状では、昼休みを利用するなど教員と学生の自発的な努力によって成り立っているので、これに対して2時間連続の合同ゼミ(3、4回生)が有効ではないかとの意見があった。

3.総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

本学部の授業の核たるゼミ活動の長所は教員と学生、ならびに学生間に良好な関係が形成され、その関係が学生の学習意欲の向上、ひいては高い水準の学習成果につながっていることである。このようなゼミ活動は、昨年指摘した通り、少人数で懇切丁寧な指導とケースバイケースの柔軟な対応という良き伝統によって支えられていると思われる。

(2)1と2において確認された改善すべき点

カリキュラム全体としては、ゼミに専任教員を割くことで講義等における選択肢が減ってしまう。カリキュラム上必要な科目の維持のために必要な人材を確保する必要がある。ワークショップの結果、ゼミのグループワークには個々のゼミ生のやる気の差が出てしまうという難しい面があること、ゼミが必修になったのでコミュニケーションが難しい学生も入るようになり対応の必要がある点、大学院進学予定者には個人指導を行わざるを得ないことが課題として共有されている。

4.次年度に向けての取り組み

教員側の人員不足(対学生数。クラス数)が今後さらに深刻になるので、3、4回生合同ゼミを開けるようにすること、今年度から始まった「むすびわざブックマラソン」に関して、読書量の増加を目指して文化学部2階読書室への寄贈図書の充実をはかること、ブックマラソンを活性化するために学生の関心を引く方法を模索すること、ゼミを中心としたカリキュラム・マップの作成により学生がより体系的に学習できるようにすることなどのアイデアが出されているので、これらをよく検討したうえで改善を継続的かつ着実に進める。
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