平成28年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

ゼミへの出席率・満足度、いずれも高い。年次を重ねるにつれて、また春学期よりも秋学期の方が、事前事後学習の時間がおおむね増えている。同様に、文化に対する理解、グループワークの意義、フィールドワークや調査研究の面白さも、年次・時期を追って、徐々に強く実感されているように思われる。学問的関心も十分に喚起されている。総評として、ゼミの運営が学生と教員の努力により大変良い状態で進んでいると結論できる。
また、シラバスにおける準備学習等への指示の活用については、春学期は「どちらともいえない」という回答が多かったが、おそらくは、ゼミという性質上、ケース・バイ・ケースで進める必要があるためと思われる。上記の全体的な高評価から鑑みれば、予定通りにうまく進まなかったというよりも、むしろ教員が生徒の個性やゼミでの人間関係に応じて臨機応変に授業の内容を変更できていることを示していると見るのが整合性のとれた見方ではないかと考える。なお、入門セミナーでは、シラバスを確認する学生が、春学期に比べ秋学期は大幅に増え、準備学習における活用の度合いもやはり上がっている。 今後の課題を強いて挙げれば、学生にシラバスをさらにしっかり読ませ、カリキュラムをより深く理解させるための工夫をするということであろう。

2.「公開授業&ワークショップ」についての成果報告

参加人数

A.平成28年10月4日 ①「公開授業」:教員4名 ②「ワークショップ」:教員4名
B.平成29年1月13日 ①「公開授業」:教員7名 ②「ワークショップ」:教員7名

ワークショップでの意見交換内容

A.平成28年10月4日(火)、「文学・芸術基礎演習B」(古後奈緒子非常勤講師)で「公開授業」及びワークショップを開催した。参加教員は少なかったが、授業後には、演劇を題材にした映像資料・配付資料・授業の進め方・分析する視点の提示などについて意見交換を行った。授業の最後に出してもらったペーパーの出来からはかえって、学生の考えたことをどう発言に結びつけるかが課題だろうということになった。

B.平成29年1月13日(金)、「京都文化基礎演習B」(鈴木久男教授)のフィールド先である、金閣寺の見学会を公開授業とした。現地に赴いて、具体的な質問を投げかけること、そのための準備作業として読解作業をすることの重要性が改めて認識された。鈴木先生は明確な解説によって、金閣寺とその庭園のかつての姿を見学者に想像させることに成功しており、きわめて有意義な授業を展開された。なお、学生の積極性が足りないとの意見もあった。

総括

1. と2. において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

学生と教員の密接な関係を軸にした、少人数による懇切丁寧な指導。シラバスの参照が増えたことも教員の方向付けが大きいと想像される。各教員が学生をよく観察し、短期的にも柔軟に対応していることが見て取れる。

1. と2. において確認された改善すべき点

学生が学問に対してより積極的になるような指導方法を考える必要がある。文化事象の見方、考え方に関する一層の地道な指導が必要に思われる。

次年度に向けての取り組み

学部教育の核であるゼミは今後も見守っていきたい。とくに卒業レポートの指導について、ゼミ同士の合同発表会、執筆要領の共有化、試問の方法など教員より様々なアイデアが出されているので、これらをよく検討したうえで改善を継続的かつ着実に推進していく。
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