The Security of South China Sea after PCA awards: Chance and Challenge

報告者 Pham Quang Minh(ベトナム国家大学ハノイ校学長)
開催場所 京都産業大学 5号館2階 ミーティングルーム1
開催日時 2016年12月2日(金)13:15~14:45
経済学部研究会との共催により、ベトナム国家大学よりミン学長を招聘し、研究会を開催した。今回の報告は、目下、世界の注目の的となっている南シナ海における安全保障問題についてであった。カンボジアからChheang Vannarith氏(日本財団コンサルタント)、フィンランドからTimo Särkkä氏(ユヴァスキュラ大学・本学客員研究員)をはじめ、浅野亮教授(同志社大学)、朴勝俊教授(関西学院大学)、中島琢磨教授(龍谷大学)など、学内外含め、延べ30人の参加が得られ、活発な議論が行われた。

発表概要

安全保障が、伝統的な国家の自治権にかかわる問題から、人間の安全保障にみられるように、個々人の日常生活をその射程に含むようになってきた。近年の南シナ海を巡る問題も、国家の安全保障が人々の日常生活にも影響を与えていく。

南シナ海を巡っては、常設仲裁裁判所が中国の領海権、いわゆる九段線に関する主張を退けたが、中国はその判決の受け入れを拒否している。 中国以外では、南シナ海は、ラオスを除くすべてのASEAN加盟国が接する海域である。中国とASEANは南シナ海を巡って生じた紛争は交渉でもって解決するという2002年に発表された「中国・ASEANの南シナ海における関係国行動宣言(DOC; the Declaration on the Conduct of Parties in the South China Sea)」を、とりわけ中国やフィリピンは順守していない。

一連の紛争について、この先どうなっていくのかは全く不透明であるが、3つの要素を検討する必要がある。①大国としての中国とアメリカの関与、②日本、インド、ロシア、韓国、オーストラリアが各地域でどのようにふるまうか、③ASEAN が中国との紛争についてコンセンサスを形成することができるか、ということを注視していかなければならない。

報告中のミン学長
会場の様子
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