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- 2016 Dec. vol.74
私はこれまで、広告代理店やテレビ放送局でマーケティングやプロモーションなどに携わり、映像を中心としたデジタルコンテンツの制作に取り組んできました。多くのコンテンツ制作に関わってきましたが、次第に「このコンテンツは投資した費用を回収できているのか?」とその費用対効果に疑問をいだくようになりました。中でも、近年増加している映像による地域活性化に興味を持ち、多大な投資をどうすればより意義あるものにできるのかを研究したいと考え、仕事を続けながら大学院に通い、研究を始めました。
本学で実際に研究を行うにあたり、費用対効果の測定の舞台を、 岐阜県高山市に設定しました。ここはデジタル技術の活用による地域活性化に成功しているのですが、その立役者が現地の方々であり、今後も活性化が期待される場所。現在は地元岐阜県にある大学の先生方との共同研究を行っており、費用対効果を測定するための準備を着々と進めているところです。
研究の基礎段階として、現在は上映方法によって映像が人に与える影響力に変化はあるのかを検証しています。例えば、モニタに映す、プロジェクションマッピングで投影する、ヴァーチャルリアリティとして体験してもらうなど、同じ映像であっても、どうやって観るかによって観客の感じ方が異なる可能性があるからです。また、その際に年齢やデジタルリテラシーの違いなど、受け取る側の感受性に影響する指標も併せて調査し、メディアによるコミュニケーションを展開する際のターゲットに対し、最適な観せ方を明らかにしたいと考えています。
その次に課題となるのが、映像の効果測定の指標をどう設定するか。これは、この研究の要といえる情報です。私は2段階で考えており、1つ目は映像を観たときにどの程度興奮したかを脈拍などで計る人間科学的な評価指標、2つ目はイベントで映像を用いた場合にどのくらいの経済効果が生まれたかという経済学的な評価指標です。
今は、春から進めていた映像の準備が終わったところ。これを用いて、2017年1月から上映方法の実験を行う予定です。その後、約2年を目処に、このプロジェクトを完了させたいと思っています。
こうした研究を行う一方で、現在、ゼミの学生たちと一緒に、学内向けに15分程度の映画を制作しています。これは本学のキャリア教育をテーマにしたもので、プロの映画監督の指導の下、撮影から編集まで、映像制作の全てを学生が行います。クオリティを高めるため、1?2週間の合宿を通して制作の基礎を徹底指導し、その上で実際の撮影に取り組んでもらいます。これを「第0話」とし、来年の春から学内で上映する予定。効果を出すことができれば、その後続編を制作していきます。ゼミの学生には、実際に制作で求められる技術を身に付けてもらいながら、コンテンツビジネスについての理解を深めてもらいたいと考えています。
子どもの頃から手を動かして作ることが好きで、特にプラモデルが大好き。家には高さ約150cmのガンダムがいます(笑)。ほかにも、スマホのディスプレイや家の排水管などを直したこともありますし、工作系は何でもやりたくなります。