京都産業大学 キャンパスマガジン サギタリウス VOL.51
Voice of Sagittarius
苦手だった民法を専攻したきっかけとは? 画像
苦手だった民法を専攻したきっかけとは?
民法を専攻し、主にその法的な解釈について研究を進める吉永先生。「私たちが生活する社会にはさまざまな紛争が満ち溢れていますが、個人と個人の紛争にターゲットを絞ったのが民法の領域。その中でも特に契約について研究しています」。契約法の典型的な例は、物を売り買いする売買契約だが、吉永先生が注目するのはサービスを巡る契約だ。具体的には金融サービスをテーマに取り上げ、預けた財産が増えた場合、それは誰のものになり、逆にマイナスになった場合にどのような賠償がなされるのかといった、財産を預けた人と預かった人との間の権利と義務の関係について研究している。「物の売買の場合、購入した商品が壊れていれば、目で見て確かめることができます。しかし、例えば投資を引き受けた人が正しい投資先を選んだのかどうかといったことの判断は、非常に難しい。法律的に扱うのが難しいという点が逆におもしろく感じ、それがもともと苦手だった民法を専攻するきっかけとなりました」。
京産大で初となる、フルVOD授業を開始。 画像
京産大で初となる、フルVOD授業を開始。
文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に採択された事業の一環として、京産大では昨年度より本格的なVOD(ビデオ・オン・デマンド)による授業を開始した。その講師を務めたのが、自称「法学部IT担当大臣」の吉永先生だ。「あらかじめ収録した私の講義ビデオを学生たちが好きなときに見て、その内容をまとめたレポートをインターネット上の掲示板に書き込んでもらう、という流れで授業を行いました」。授業名は「消費者取引と大学生」で、架空請求やワンクリック詐欺、訪問販売など学生の被害も少なくない事例を毎回取り上げ、その内容と対策を学ぶとともに、その中で「契約とはどういうものなのか」という理論的な側面も身に付けていく。「掲示板を利用し、学生同士のより活発なコミュニケーションを促すなど、今後も実践を通じてeラーニングの可能性を追求していければと思います。授業は今年度も開講しますので、興味のある方はぜひ受講してみてください」。
教員との何気ない会話から見えてくるもの。
法律相談部の顧問も務め、主な活動としては、法学部を設置した大学のない滋賀県に年に3回出張し、各市の自治体の協力のもと市民向け法律相談を行っている。そのほか、法科大学院が月2回開催している法律相談にも協力している。また、オフィス・アワー(学生からの質問や相談に応じるため、毎週一定の曜日・時間に研究室に待機する制度)の取り組みをはじめ、授業内外を問わず、積極的に学生と対話することを心がけている。「学生は一方的に教わるだけの存在ではなく、ふとしたきっかけから多くのことを自発的に学び、成長していきます。そのきっかけをつかむヒントのようなものが、私たち教員との会話の中にもあると思うので、雑談でもいいので積極的に話しかけてきてほしいですね」と吉永先生。「先生は雲の上のような存在ではなく、もっと身近なものです。対等な立場で議論し、そして共にその先をめざしましょう」。
先生のもうひとつの顔
先生のもうひとつの顔
中学生時代はブラスバンド部に所属。クラブで「イエスタデイ」を演奏したのが、ビートルズとの出会いでした。そこから意識して聴くようになり、大のビートルズ好きに。今に至るまで愛聴し続けています。ちなみに、一番好きなアルバムは中期の名盤『リボルバー』で、同アルバム収録の「フォー・ノー・ワン」が最近のお気に入りです。
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京都産業大学 キャンパスマガジン サギタリウス VOL.49
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