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- Vol.49 新学長紹介
- ――最初に、就任に際しての抱負を聞かせてください。
- 藤岡本学の建学の精神を、いかに現代に合った形で実現していくか。そのことをテーマに今後さまざまな改革に取り組み、その実現化を目指していかなければと思っています。
- ――具体的には?
- 藤岡ひとつのものを共に創る共創という言葉をキーワードに、学生同士はもとより、教員、職員もあわせ、それぞれの個を尊重し、調和させる中で、新しいものを創り出せる環境を整えていきたいと思っています。
- ――“共創”をキーワードにされた理由は?
- 藤岡現代は個人主義の時代ですが、個性を尊重する個人主義のよさを生かしつつ、各個人が連帯し、共にひとつのものを創り上げていく社会が求められているように思います。大学も同じで、各自がしっかりと勉強するのは大前提ですが、その上でみんなと共に同じ目標に向かい研鑽することが大切です。いわば、切磋琢磨という「競争」下での「共創」です。
- ――その具体的な取り組みはこれから考えていかれると思いますが、今の時点ではどのようなものを想定されているのでしょうか?
- 藤岡例えば、多くの人間が集まるゼミ活動やクラブ活動の充実。また学生だけでなく、先生同士の共同研究、さらには学部・学科間の横断的学び、他大学との交流の拡充など、あらゆるところで横のつながりを深めたいですね。
- ――学長は1980年以来、30年にわたって京産大生を見てこられたわけですが、学生の変化は感じられますか?
- 藤岡これは本学の学生に限ったことではないかもしれませんが、道徳的な行いや美を追究する心など、近年では「真善美」に対する畏敬の念が弱くなってきているように感じます。その分野の教育も課題のひとつです。
- ――そういった真理などの追究が、情操面も育んでいくと。
- 藤岡そうですね。大学とは本来、「知徳体を修め、真善美を究めるところ」です。「真善美」の頂点には簡単に到達できませんが、その試行錯誤するプロセスが大切で、そこで「頂点ははるかに高い」と感じたら、勉強せざるを得なくなる。そんな気づきを育める場を数多く提供していければと思っています。
- ――一方で、社会に出てからの即戦力も求められています。
- 藤岡もともと、本学は社会との連携の面でも力を入れてきました。私自身「現場主義」を旨とし、インターンシップの指導なども行ってきましたが、学生の皆さんは「現場」に出て自ら体験することで、それまで気づかなかった数多くのことを学んでいます。大学の名前に「産業」という言葉が入っていますが、これは「むすびわざ」とも読み、新しいものをみんなで生み出すという意味の「むすひ」が語源です。実社会で直ちに役立つ実力を身に付けさせるためにも「真善美」の追求といった理論と実践のバランスに取り組み、創造性のある人材を育むことが、本学の使命だと思っています。
- ――それでは、最後に学生へのメッセージをお願いします。
- 藤岡先ほども言いましたが、大学とは「知徳体」を修め、「真善美」を究めるところです。専門分野で幅広い知識を身に付け創造力を培うとともに、高い徳を修め、そして身体を鍛えることで、心身ともに健全に成長する。そのための時間と空間のある場が大学なのですから、それを最大限に生かせるような学生生活を送ってください。
- 高校時代は本ばかり読んでいましたが、その反動で大学時代はとにかく動いてみようと、自転車で京都中を走り回っていました。お寺などに赴き、本物に触れ、その中で思索する時間はすごく充実していましたね。
- 公務員、法曹、新聞記者、研究者にあこがれていましたが、「研究をし、人を育てる大学教員くらい意義がある仕事はないよ」という恩師の一言に後押しされ、研究者となり、大学教員の道を選びました。
- いろいろ新しいことにチャレンジしてみる性格なのですが、今は先日発売された「ipad」に興味を持っています。
- 学食です。面識のある、なしにかかわらず、近くに座っている学生に話しかけ、会話をするのが好きなんですよ。学長になってからも、時間のある限り学食には足を運びたいと思っています。
- ミニチュア・ダックスフントを2匹(ミュウとナノ)飼っていて、彼らと戯れているときが一番心が落ちつきます。
- 昔自分でも少しやっていたことがあるのですが、ラグビー観戦が好きで、京産大ラグビー部の試合もよく観に行っています。あとは落語、特に桂枝雀師匠が好きで、DVDで鑑賞しています。
- まずは両親です。そして、これまでの人生の中で出会い、私にさまざまな影響を与えてくださった数多くの方々に対し、尊敬の念を抱いています。
- 同志社大学大学院法学研究科修士課程修了。1980年に本学の法学部講師となり、1990年に法学部教授、1998年から学長補佐、副学長などを経て、2004年に法科大学院教授に。2008年に法務研究科長となり、2010年10月1日から京都産業大学 学長。