【理学部】宇宙物理・気象学科の4年次生が学会発表を行いました

2024.06.06

理学部宇宙物理・気象学科の4年次生3人が、2024年5月26日から幕張メッセで行われた日本地球惑星科学連合(JpGU)2024年大会に参加しました。「Relationship between equatorial waves and 7-sol period wind oscillations in low latitudes on Mars」と題したポスター発表を行い、多くの聴講者を集めました。幕張メッセの巨大な展示ホールでは、NASA-JAXAハイパーウォールをはじめとするさまざまなイベントが開催され、関連企業や大学のブースが乱立し、その横で無数のポスター発表が行われました。コロナ前の熱気が戻ってきた学会会場で、学生3人は約1時間半にわたって途切れることのない聴講者に熱心に説明していました。
宇宙物理・気象学PBL演習Cの履修者の皆さんと小郷原 一智 准教授(左端)
火星探査機InSightは2018年から約4年間、火星の低緯度で大気と地面の振動を観測していました。火星の地震(火震)を発見したことでも有名な探査機です。地球でも火星でも大気も常に地面を振動させているので、火震を正確に観測するには気圧や風速、気温の観測が欠かせません。つまり、地震計を搭載したInSightには気象観測用の測器も搭載されていて、大気の研究を行うこともできるのです。今回発表した4年次生は、InSightに搭載された風速計と温度計のデータから、北半球の冬季に出現する1週間周期の振動現象を発見しました。地球の低緯度に存在する大気波動(赤道波)の理論を火星大気に適用し、発見した1週間周期の振動現象が赤道波で説明可能かどうか検証しました。その結果、風速や気温の1週間周期の振動自体は一般的な気象学の教科書に載っている赤道波の理論で説明できるものの、東西風と南北風の位相のずれは説明困難であることがわかりました。ただし、地表面摩擦の効果を加味すると説明できる可能性があることもわかりました。
ポスター発表中の第1著者の宇宙物理・気象学科4年次生の新田さん(左)
宇宙物理・気象学科では2023年度から少人数制の宇宙物理・気象学PBL演習A、 BおよびCを正規科目として開講しています。宇宙物理・気象学PBL演習AおよびBで1年かけて研究を行い、次年度の宇宙物理・気象学PBL演習Cで研究内容を学会発表することを目指します。今回発表した4年次生3人は、昨年の4月から研究を始めました。最初はInSightの観測データを読み取ること自体にも四苦八苦していましたが、英語で書かれたInSight搭載機器のドキュメントを熟読し、自分たちが使いやすいようにデータを成形し、研究成果をまとめることができました。

名称:日本地球惑星科学連合2024年大会
場所:幕張メッセ国際会議場
期間:2024年5月26日~31日
質問に対応する第1著者の宇宙物理・気象学科4年次生の新田さん(左から2番目)
PAGE TOP