【文化学部】大原で「赤紫蘇摘み体験」と食文化を学ぶフィールドワークを実施

2022.08.09

文化学部京都文化学科の中野宏幸教授と成田智恵子助教の3年・4年次生のゼミが合同でフィールドワークを行いました。今回のフィールドワークの舞台は京都の洛北に位置する大原です。大原といえば、三千院や寂光院などの寺院とともに「赤紫蘇」の産地として有名です。大原の伝統漬物「しば漬」にも欠かすことのできない赤紫蘇は、大原の里人の手によって代々受け継がれてきました。学生たちは赤紫蘇が最盛期を迎える7月に現地に赴き、大原の赤紫蘇の歴史や収穫・加工方法について学びました。
刈り取った赤紫蘇を抱えて(左から2人目は、大原観光保勝会の辻美正会長)
まず大原観光保勝会の辻美正会長から「大原における赤紫蘇の歴史とその文化的価値」についてのお話を伺いました。赤紫蘇の中でも色・香りともに最高品種とされる大原の赤紫蘇は、現代においても原種に近い特徴を持ちます。一般に赤紫蘇は、青紫蘇や荏胡麻(えごま)との交雑が起こりやすいため、希少な大原の赤紫蘇を守るためには雑種交配を防ぐ必要があります。そのため、大原では毎年、自家採種を行い、大原の赤紫蘇を未来に伝えていくため、たゆまぬ努力を重ねているそうです。そして、その努力が良質な赤紫蘇を守り、800年の歴史を持つ大原のしば漬を現在も支え続けているとのことです。
畑で赤紫蘇を収穫
赤紫蘇を水洗い
実習は畑で赤紫蘇を収穫するところからスタートしました。学生たちは赤紫蘇を刈り取る人と刈り取った赤紫蘇を荷台に運ぶ人に分かれ、協力し、収穫を行いました。その後、刈り取った赤紫蘇を水で洗い、葉をもぐ作業に移りました。はじめは悪戦苦闘しながら葉をもいでいた学生たちも徐々にコツをつかみ、時間を忘れて楽しみながら作業を進めることができました。なお、紫蘇は捨てる部分がなく、葉をもぎ終えた茎は畑で堆肥として再利用されるとのことです。すべてを余すことなく循環させていく農業の在り方から、学生たちは持続可能な社会の在り方についても学びを得ていました。
葉をもぐ作業
赤紫蘇を手にしている様子
昼食には京の伝統野菜である賀茂なすを使用した「賀茂なすのしぎ焼き」と新鮮なトマトをいただきました。収穫体験の後ということもあり、学生たちは食の背景や、そのありがたみを感じながら、野菜のおいしさを味わっていました。そして、昼食後には午前中にもいだ赤紫蘇の葉を使用して、赤紫蘇ジュース作りのレクチャーを受けました。赤紫蘇を煮だした液体自体も十分に綺麗な色をしていましたが、そこにクエン酸を加えることでより美しいルビー色のジュースができ上っていく光景に学生たちは感嘆の声を上げていました。
賀茂なすのしぎ焼き
赤紫蘇ジュースを試飲
最後は作り立てのジュースを味わいながら、今回の体験や大原についての質疑応答を行いました。
時代が移り変わり、京都の風景も移り変わっていく中で、大原の里の変化が少ない理由や、大原の里における暮らしなどについて、現地に暮らす人たちの体験談を交えながら説明していただきました。学生たちからは「地域の取り組みの特色を直に学ぶことができた」「赤紫蘇だけではなく大原についてもっと学んでみたい」「赤紫蘇を使って自宅でジュース作りに挑戦してみる」などの声が聞かれました。
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