京都産業大学世界問題研究所・国際セミナー
開催日時 | 2014年10月17日(金)9:30〜17:30 |
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開催場所 | 京都産業大学 むすびわざ館4階 会議室 |
プログラム
9:30〜10:30 | 基調講演 | 夏立平(上海同済大学 政治と国際関係学院長) 「中国を取り巻く国際政治環境」 |
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10:30〜11:00 | コメント | 東郷和彦(京都産業大学世界問題研究所長) |
11:00〜11:30 | コーヒーブレイク | |
11:30〜12:00 | 研究報告 | 張興(上海同済大学 国際と公共事務研究院副研究員) 「日米関係とアジア地域の安定性」 |
12:00〜12:30 | コメント | 岩本誠吾(京都産業大学世界問題研究所員・法学部教授) |
12:30〜14:00 | 昼食 | |
14:00〜14:30 | 研究報告 | 高蘭(上海同済大学 国際と公共事務研究院副院長・早稲田大学客員研究員) 「「闘而不破」の外交関係は現存するのか:中日関係を例に 」 |
14:30〜15:00 | コメント | 滝田豪(京都産業大学世界問題研究所員・法学部准教授) |
15:00〜15:30 | コーヒーブレイク | |
15:30〜16:00 | 研究報告 | 劉阿敏(上海社会科学院国際関係研究所研究員) 「ダイナミックな東アジア情勢と中米関係」 |
16:00〜16:30 | コメント | 高原秀介(京都産業大学世界問題研究所員・外国語学部准教授) |
16:30〜17:15 | パネルディスカッション | |
17:15〜17:30 | 総括 | 東郷和彦(京都産業大学世界問題研究所長) |
報告の概要
セミナーは、中国側からの四つの報告に対し日本側からそれぞれ準備されたコメントを返し、最後に全体討論を行う形でしめくくられた。日中の間で意見が一致した部分、顕著に対立した部分、意見が違うが相互理解を深めた部分が明らかになり、緊迫する中でも和やかさを伴う議論が一日にわたって続けられた。議論の概要は以下のとおり。
- 現在の東アジアを取りまく国際情勢に関しては、中国、インドなど台頭する諸勢力とこれまでの秩序を形成してきた諸国との間に協調と競合の極めて大きな動きが生じていること、その最も顕著な例は米中の競合・協調の新関係にあるがその帰趨は明らかではないこと、そういう国際社会の大変動は数千年の歴史と未来の流れの中で把握されねばならないこと等、双方の認識は概ね一致した。
- 日中関係をそういう大きな視座の中で考えるならば、現下の極端な政治的緊張は双方の国益を害しており、この状況からの脱却を考えねばならず、そのためには、現在顕著に欠如している相互信頼を回復すべきことについても、双方の認識は一致した。
- 双方が展開している外交・安全保障の基本政策については、①中国側から日米安保条約は冷戦マインドの遺物であり、新しい安全保障協力の機構を作る中で解消すべきだという批判が提起され、日本側から安保条約は時代の変化に適用すべく柔軟な変化をとげており、信頼を基礎とするマルチの安全保障機構が出来ていない現状では、そういう柔軟な形での維持は不可欠であることを縷々説明した。②中国の海洋戦略について日本側から、東シナ海(尖閣)、南シナ海(西沙・南沙)ともに、中国が実力による現状変更を行っていることは否定のしようがなく、この政策を改め平和的交渉によって相違を乗り越えるべき旨主張、中国側から、中国の意図は平和であること、現存する国際秩序を尊重する用意もあること、武力行使ではない新しい海洋戦略として「海上シルクロード」構想をうちだしていることなど様々な説明が行われた。
- 上述のとおり、お互いの基本政策について相互理解を深める議論が若干進められたと思われるが、現実には、東シナ海をめぐる緊張は決して軽減されていない。その点については、①危機管理・信頼醸成措置が急務であり、CUESの合意、リムパック演習に初めて中国が参加するなど前向きの動きがでてきたことを肯定的に評価することについては双方の認識が一致、②他方、尖閣問題を今後どうするかについては、例えば、1972年−2012年の40年間の「現状維持」にもどることなどいくつかのアイディアが交換されたが、見るべき意見の一致にはいたらなかった。
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夏立平氏による基調講演 -
東郷和彦氏によるコメント -
張興氏による研究報告 -
岩本誠吾氏によるコメント -
高蘭氏による研究報告 -
滝田豪氏によるコメント -
劉阿明氏による研究報告 -
高原秀介氏によるコメント -
会場の様子