【世界問題研究所】2024年度「若泉敬記念基金」懸賞論文表彰式開催

2025.03.17

京都産業大学世界問題研究所主催の2024年度「若泉敬記念基金」懸賞論文表彰式が、2025年3月12日(水)にオンラインで開催されました。世界問題研究所の所員や関係者、懸賞論文の入賞者など11人が参加しました。
「若泉敬記念基金」懸賞論文は、長年にわたって世界問題研究所所長を務めた故 若泉 敬 教授の寄付をもとに設置された「若泉敬記念基金」の活動の一環として実施されています。本学の学生を対象に「今日の世界問題に関するテーマを各自で設定し、副題をつけて論じる」という趣旨で論文を募集したところ、第22回目にあたる本年度は15篇の応募作があり、二席2篇・佳作6篇の計8篇が入賞しました(一席は該当作なし)。
 
表彰式では世界問題研究所所員の耳野 健二 現代社会学部教授が司会進行を務めるなか、まずは所長の 岩本 誠吾 法学部客員教授から所長挨拶がありました。挨拶では、「今日の世界問題について」という幅広い主題を設けて数多くの論文を募り優秀作には奨学金を授与することで学業増進の励みにしてもらうのが懸賞論文の目的であること、また、今回は22回目(22年目)にあたりちょうど応募者の多くが生まれた頃に始まった伝統ある懸賞論文であるとの紹介がなされました。そして、岩本所長から入賞者一人一人に賞状が授与されました。
 
その後、入賞作の講評に移りました。まず岩本所長から「素晴らしい日本語で書かれた留学生の応募作品もありました。2年連続で応募された学生さんも4人もいらっしゃいます。主催者側として、果敢に挑戦してくれた多くの学生さんの熱意に感謝するとともに、高く評価したいと思います」「15篇は、着眼点、論文構成、分析方法など、どれも学術的レベルの高い論文でありました。そのため、甲乙付け難かったですが、審査の結果、ニ席に2篇、佳作に6篇が選ばれました」との講評がありました。
 
つづいて、二席の2篇について、所員の久保 秀雄 法学部教授から、論文の内容の紹介とともに、どのような点が高い評価を得たのか、詳しい講評がありました。また、佳作の6篇については、所員の中井 歩 法学部教授から、優れた点とさらなる研鑽を期待する点について、個別に講評が行われました。
 
その後、世界問題研究会INC(インターネットクラブ)幹事の木野 正博 氏からお寄せいただいた祝辞が披露されました。祝辞では、「国連も充分な調停機能を発揮できていない混沌とした世界で、皆さんが在学中に養った国際的センスやニュース・情報の真贋を見分ける眼を大いに生かして、日本人として、また自らの立ち位置や状況の判断に役立つよう、心掛けてください」とのメッセージをいただきました。
 
最後に、入賞者一人一人から執筆時の苦労や受賞の喜びなどが語られました。入賞者からは「データの分析で思うような結果がなかなか得られず時間を要したことに苦労した」「昨年は選ばれなかったので、今回受賞できたことが素直に嬉しい」「民主主義という概念をどう定義すればよいのか苦労した」「4万字を超える卒業論文を1万字におさめるのが大変だった」「調査などで総勢100人以上の方にご協力いただいたので、受賞が少しでも恩返しになればと思う」「4月から進学する大学院では、さらに研究を深めたい」といった声などが、寄せられました。

二席

  • 国際関係学部国際関係学科 4年次 井村 安里
    「民主的な森林ガバナンスの有用性:インドと中国の事例比較から」
  • 現代社会学部現代社会学科 3年次 田中 こころ
    「高齢化と家族介護—経済的背景が親子関係と介護意識に及ぼす影響—」

佳作

  • 国際関係学部国際関係学科 4年次 奥村 力斗
    「エルドアンのアサド政権に対する脅威認識の変化がもたらした歩み寄り-オムニ・バランシング論をもちいた考察-」
  • 国際関係学部国際関係学科 3年次 杉 旺城
    「『新冷戦』時代におけるグローバル・ガバナンス:米中対立の多角的分析」
  • 経済学部経済学科 4年次 田中 翔大
    「半導体産業における海外直接投資の必要性」
  • 国際関係学部国際関係学科 4年次 千代原 祐弥
    「政治体制とエネルギー政策:コンセンサス民主主義は再生可能エネルギーを普及させうるのか」
  • 国際関係学部国際関係学科 4年次 南 優希
    「持続可能なグローバルツーリズムをめざした国際協働-パラオ共和国の事例からみた多様なアクターとの取り組み-」
  • 国際関係学部国際関係学科 4年次 山本 雄翔
    「近代国民国家に於ける政治力学の重層性について-激動する世界と膨張主義への逆行に備えて-」

その他の応募作

  • 法学部法政策学科 4年次 江村 蒼大
    「日本における在日クルド人の実態」
  • 現代社会学部現代社会学科 3年次 金 岳澄
    「グローバル時代におけるモソ人文化の創造的継承」
  • 経営学部マネジメント学科 3年次 土島 大知
     「旧住友金属工業と住友商事による米Standard Steel社買収に関する-考察—M&Aのグローバル化と国際経済-」
  • 国際関係学部国際関係学科 3年次 軒端 来実
    「再生可能エネルギーは真にサステイナブルなのか?」
  • 国際関係学部国際関係学科 3年次 平石 暖奈
     「CSR達成条件の確立—将来的な課題解決への道—」
  • 現代社会学部現代社会学科 4年次 藤田 いろは
     「日本とベトナムの食べ残しに関する比較研究-ベトナム人はもったいないと思わないのか-」
  • 国際関係学部国際関係学科 2年次 南 怜那
    「日本におけるヘイトスピーチの存在-解決プロセスと今後の動向-」
  • ※区分ごとに氏名の50音順 

若泉敬 記念基金

若泉 敬(わかいずみ けい 1930-1996年)国際政治学者。東京大学法学部を卒業し、ロンドン大学やジョンズ・ホプキンズ大学に留学。1966年に本学教授として招聘され、同年世界問題研究所所員となり、1970年から 1980年まで同研究所所長を務める。1992年退職時には退職金の全額を同研究所の活動資金として寄付。同研究所では 2001年にこれを「若泉敬記念基金」と命名。若者の教育に熱心だった若泉教授の精神を学生に伝承するため、講演会開催、懸賞論文募集などの経費に充てている。
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