【世界問題研究所】上海社会科学院と本学で国際ワークショップを開催しました!

2023.12.27

世界問題研究所は、本学の交流協定機関でもある上海社会科学院と共同で、2023年11月4日と12月8日に国際ワークショップを開催しました。上海社会科学院と共同で開催する国際ワークショップは、2021年12月以来のこととなります。前回はオンラインでの開催となりましたが、今回は、両国でのコロナ禍による社会的制約が緩和されつつあることもあり、念願の対面開催が実現しました。

当研究所では、2020年度より「科学技術の発展と人類社会の変化」をテーマとして掲げ、文理融合・分野横断という視点から新たなアプローチを試み、様々な研究活動を行ってきました。今回の国際ワークショップの開催も、上記のテーマに関する研究活動の具体的展開の一つとなります。現在世界においては生成AIやビッグデータを活用した情報技術など、デジタル分野での技術が急速に発展していますが、そのような新しいテクノロジーの利用及び規制に関する国際的な枠組みも構築されつつあるところです。当研究所のテーマとして掲げている科学技術と人類社会の関係、とりわけ科学技術と人類の幸福及び平和の関係について考える上でも意義深いワークショップとなりました。

上海での国際ワークショップの様子
上海でのワークショップには、本学及び世界問題研究所から岑 智偉 所員(経済学部 教授)、中谷 真憲 所員(法学部 教授)、荻野 晃大 教授(情報理工学部)、志賀 浄邦 所員(文化学部 教授)が参加し、それぞれの専門分野から研究報告・討論を行いました。開会に先立って程 福財 研究員(上海社会科学院国際合作処長)より歓迎の辞が述べられた後、中谷 真憲 所員(本学法学部 教授)より、開会の挨拶と本学世界問題研究所の紹介とこれまでの歩みについての説明がありました。
歓迎の辞を述べる程国際合作処長
挨拶する中谷所員と通訳する岑所員
上海社会科学院からは3人の研究者による報告がありました。包 蕾萍 研究員は「デジタル社会の構築:価値志向と政策実践」、計 海慶 研究員は「人工知能時代に調和のとれた人間と機械の関係を構築する」、史 習隽 副研究員は「身体の苦しみと魂の喜び—キリスト教における楽観的思考」と題する研究報告を行いました。本学からは、岩本 誠吾 所長の「人工知能(AI)の利用と規制—よりよい社会を目指して—(日本の場合)」と題する研究報告を中谷所員が代読したのち、荻野教授が「Well-beingと感性—人を幸せにするための情報技術:感性工学」、志賀所員が「人は快・不快をどのように知覚するのか?—仏教思想から見たWell-beingと幸福—」というタイトルで研究報告を行いました。人工知能(AI)から、デジタル社会、感性工学、宗教に至るまで発表テーマは多岐にわたりましたが、ワークショップが終了した時点で、実は多くの報告に通底していた「新しい時代における人間のウェルビーイング(幸福)」という新たなテーマが浮かび上がってきました。
研究報告中の荻野教授
研究報告中の志賀所員
参加者全員による集合写真
上海でのワークショップの成果を受け、12月8日には本学真理館SR301教室にて、「技術進歩と未来の社会」というテーマの下、再び上海社会科学院と共同で国際ワークショップを開催しました。上海社会科学院からは計5名の研究者が来学し、ワークショップに参加しました。岩本 誠吾 世界問題研究所長(法学部 教授)の開会挨拶に続き、上海社会科学院の王 振 副院長が「中国デジタル化・グリーン化協同発展の動向と政策建設」と題する研究報告を行いました。岩本所長は「人工知能(AI)の利用と規制—よりよい社会を目指して—日本の場合」と題する研究報告を、同学院情報通信研究所の丁 波涛 副所長は「中国データファクター市場の現状と展望」と題する研究報告を行いました。本学の荻野教授は上海で行った発表の概要について報告しました。いずれの報告も中国・日本・世界におけるAIや科学技術の革新に関する最新の動向を踏まえたもので、やがて到来すると言われている未来社会(Society 5.0)やシンギュラリティ(技術的特異点)について考える上でも大いに参考になりました。
研究報告中の王副院長
研究報告中の岩本所長
研究報告中の丁副所長
研究報告中の荻野教授
本学でのワークショップの様子
これら二度のワークショップを通じて、参加者は科学技術の進歩と人類社会の変化に関する最新の知見と洞察を共有することができました。同時に、両機関の研究者同士の草の根的な対話と交流は、二つの機関の友好関係と学術交流を一層深めてくれました。今後も世界問題研究所と上海社会科学院は相互に連携しつつ、科学技術の進展に関する世界の最新の動向を見据えながら共同研究を進めていく所存です。
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