2021年度「若泉敬記念基金」懸賞論文表彰式開催

2022.03.22

京都産業大学世界問題研究所主催の2021年度「若泉敬記念基金」懸賞論文表彰式が、2022年3月16日(水)にMicrosoft Teamsを利用してオンラインで開催されました。世界問題研究所の所員や関係者、懸賞論文の入賞者など19名が参加しました。

「若泉敬記念基金」懸賞論文は、長年にわたって世界問題研究所所長を務めた故 若泉 敬 教授の寄付をもとに設置された「若泉敬記念基金」の活動の一環として実施されています。本学の学生を対象に「今日の世界問題に関するテーマを各自で設定し、副題をつけて論じる」という趣旨で論文を募集したところ、本年度は文系全学部の2年次生から4年次生まで20篇の応募作があり、二席2篇・佳作6篇と過去最多の計8篇が入賞しました(一席は該当作なし)。

表彰式では世界問題研究所所員の耳野 健二 現代社会学部教授が司会進行を務めるなか、所長の 川合 全弘 法学部教授から所長挨拶と応募作全体に対する講評があり、「回数を重ねる毎に、着実に応募作の水準が上がってきました。とりわけ今回は、一次資料や実地調査に基づく堅実な方法論、先行研究を踏まえた自説の論理的構成、日本語表現の正確さなど、論文作成の要点において大いに進歩が見られます」といったお話がありました。また、募集の趣旨で示されている「世界問題」についてどのように考えることができるのか、複数の応募作を例に説明が行われました。

つづいて、二席の2篇について、所員の久保 秀雄 法学部准教授から、いずれも著者の専門性を存分に活かした本格的な研究であり、どのような点が高い評価を得たのか、詳しい講評がありました。また、佳作の6篇については、所員の中谷 真憲 法学部教授から、優れた点とさらなる研鑽を期待する点について、個別に講評が行われました。

講評の後には、入賞者一人一人から執筆時の苦労や今後の抱負などについて語ってもらいました。入賞者からは「すごく個人的な興味から始めて研究論文を完成させることができ、最後にこうした評価を頂けて大変光栄でとても嬉しい。」「インタビューやアンケートといった調査を行う際になかなか協力して頂ける企業が見つからなかったなかで、地域の事業者の皆様が積極的に協力して下さったのが非常にありがたかった。」「現在進行形のテーマだったので、執筆中に資料を集め直したりするのが大変だった。」「新しいテーマを取り上げたので、先行研究がなかなか見当たらず、ひとりの著者の外国語文献しか存在しなかった。ひとりの著者だけなので偏った見方をしていないか、注意する必要があった。」といった声などが、寄せられました。


最後に、来賓として参加した 鈴井 清巳 国際関係学部教授から、「普段授業で担当している指導教員とは違う第三者から丁寧な講評を頂ける成果発表のチャンスがあるのは、学生にとって非常に貴重な機会になるので、今後もずっと続けてほしい」とのコメントを頂きました。同じく、来賓として参加した 加藤 敦典 現代社会学部准教授から、「執筆にあたってアドバイスを下さった先生方や調査にご協力して頂いた関係者の皆様に、御礼とともに入賞のご連絡をすることをお勧めします」とのコメントを頂きました。

二席

  • 外国語学部 国際関係学科 4年次生 今江 俊哉
    「国際法における人道的干渉の位置づけ—コソボ空爆後までを中心に—」
  • 文化学部 国際文化学科 4年次生 瀧澤 美子
    「16世紀イタリアにおける宗教改革思想の伝播を担ったヴェネツィア出版人—アンドレア・アッリヴァベーネの活動目的—」

佳作

  • 経済学部 経済学科 2年次生 岩田 浩昌
    「認識機能つき回収ボックスの利用でEco懸賞の参加へ—資源回収ボックスの正確な利用とインセンティブの確立—」
  • 現代社会学部 現代社会学科 4年次生 久保 公鶴
    「文化を越えた離乳食の在り方~インタビューからわかる伝統の変化と母たちの選択~」
  • 国際関係学部 国際関係学科 3年次生 寺尾 美咲
    「現代韓国に関する一考察—若者の就職難から見る韓国—」
  • 国際関係学部 国際関係学科 3年次生 福西 あさひ
    「『EU復興基金(次世代EU)の戦略的意義』—結束とプレゼンスの回復に向けて—」
  • 国際関係学部 国際関係学科 3年次生 森賀 優太
    「国際問題に対する解決策としてのエシカル消費 エシカル消費の普及へ向けた課題と展望」
  • 国際関係学部 国際関係学科 3年次生 吉馴 真汐
    「持続可能性の再定義—『サスティナブル』・サプライチェーンの構築にむけて—」

若泉敬 記念基金

若泉 敬(わかいずみ けい 1930-1996年)国際政治学者。東京大学法学部、ロンドン大学院卒業。1965年に本学教授として招聘され、1966年世界問題研究所所員となり、1970年から1980年まで同研究所所長を務める。1992年退職時には退職金の全額を同研究所の活動資金として寄付、同研究所では2001年にこれを「若泉敬記念基金」と命名。若者の教育に熱心だった若泉教授の精神を学生に還元するため、講演会開催、懸賞論文募集などの経費に運用している。
入賞者のみなさんと川合所長、来賓の鈴井教授、加藤准教授
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