第1回目 稽古について
2020.08.05
賀茂競馬とは


賀茂競馬は、平安時代の寛治7年(1093年)、堀河天皇が天下泰平・五穀豊穣を願って、武徳殿前で開催されていた宮中競馬を上賀茂神社に移されたもので、葵祭の前儀として毎年5月5日に上賀茂神社で行われます。乗尻[のりじり](騎手)は左方[さかた]と右方[うかた]に分かれて馬を走らせその速さを競い(競馳[きょうち])、左方の勝ちが多い年は豊作と言われています。各所に陰陽道の影響を強く残しており、平安時代と同様の儀式を今に伝えています。
今回は5月5日当日に至るまでの乗尻の稽古や準備の一部をご紹介いたします。
乗馬の稽古
乗馬の稽古は3月中旬から開始します。神事に携わる乗尻やその他の所役は代々、旧社家の方々が奉仕されています。小学生の頃から乗尻として奉仕を始める方が多く、はじめは木馬で乗馬の基礎を学びます。その後、実際に馬に乗って稽古をします。




馬場に設けられる埒について

賀茂競馬の時期が近づくと参道の芝生に柵が設けられます。この柵は埒[らち]と呼ばれており、「埒が明かない」という言葉の語源となったといわれています。埒の内側が馬を走らせるコース(馬場)となり、猛スピードで馬が走り抜ける迫力ある様子を見ることができます。
作法の稽古
賀茂競馬は乗馬で勝負することがすべてではなく、競馳に至るまでに様々な儀式があります。 例えば、乗尻が参向した旨を所役に報告をする出仕奉告や乗馬で使用する鞭を洗い清める儀式(お鞭洗いの儀)、乗尻の身体を清め祓うために祝詞を奏上する儀式等があります。以下の写真はそれぞれの儀式の作法を稽古している様子です。



馬具の準備
乗尻たちは乗馬の際に使用する和鞍を組んで当日に備えています(鞍組み)。


馬の乗り方、儀式の作法そして馬具の準備の仕方も乗尻の経験がある方から若手へ受け継がれています。
※賀茂競馬は5月1日に馬を走らせる順番(番立[ばんだて])を決める「足汰式[あしぞろえしき]」を行い、5日の競馳を迎えます。次回は足汰式の清め・祓いの儀式に焦点を当ててご紹介したいと思います。
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