第2回目 足汰式の清め・祓いの儀式について

2020.08.06

今回は5月1日に行われる足汰式の清めと祓いの儀式の一部についてご紹介します。

足汰式とは

足汰式は5日当日の走る順番、組み合わせ(番[つがい])を決定する儀式です。

1頭ずつ馬場殿(写真①左の建物)の所役に馬の歯や毛色等を見せる毛付[けつけ]の儀を行います。毛付の儀の後に馬を1頭ずつ走らせ(素駆[すがけ])、乗尻の所作や馬の速さによって9段階の評価をつけます。評価に基づき5日に走る順番と組み合わせが決まり、その番での競馳を行います。

①毛付の儀の様子〈平成27年5月1日撮影〉

 

②馬の口を開けて歯を見ている様子。歯を見ることで馬の年齢がわかるといわれている。
〈平成27年5月1日撮影〉

 

③素駆の様子。乗尻の姿勢や鞭の指し方の良し悪し、馬の速さが評価される。
〈平成27年5月1日撮影〉

乗尻について

賀茂競馬で走る馬は、競馬に関する費用等を負担する領地(荘園)から野生の馬(清い馬)を献進された歴史から、乗尻は現在も走る際には「〇〇の国、●●庄」と荘園名で呼ばれます。その中でも美作国倭文庄[みまさかのくにしどりのしょう](以下、倭文庄)の馬は1組目に走ることや、馬装も他の馬と異なること等から重要視されていることがわかります。

また、足汰式で乗尻は浄衣[じょうえ]という装束を着ています。一組目の番である倭文庄と加賀国金津庄[かがのくにかなづのしょう](以下、金津庄)は他の乗尻と袴の色が異なることがわかります。

④倭文庄の乗尻と馬〈平成26年5月1日撮影〉
⑤金津庄の乗尻と馬〈平成26年5月1日撮影〉
⑥その他の乗尻と荘園の馬〈平成26年5月1日撮影〉

足汰式で行われる清め・祓いの儀式について

賀茂競馬に奉仕される方々は神事に向けて4月頃から4足の動物や青魚等を食べるのを控え、身を清める生活を過ごします。5月1日の足汰式、5日の賀茂競馬においてもいくつもの清め、祓いの儀式が行われます。乗尻の心身だけではなく、乗馬で使う道具である鞭や馬も清めます。
⑦倭文庄の乗尻が心身の汚れを祓い清める祝詞を奏上している様子
〈平成29年5月1日撮影〉
⑧お鞭洗いの儀。上賀茂神社境内に流れる沢田川に鞭を浸け、清める。
〈令和元年5月1日撮影〉
⑨乗馬足洗いの儀〈平成25年5月1日撮影〉
⑩乗馬足洗いの儀では馬の足(球節)に水をかけて清める。
〈平成25年5月1日撮影〉

幾多にもわたる儀式を重ねたうえで、清らかな心身をもって神事に臨みます。

※次回は5月5日に行われる賀茂競馬の中で競馳について紹介します。

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