植物ゲノム科学研究センター塚谷真衣研究員、総合生命科学部寺地徹教授を含む国際共同研究グループが、西アフリカの主要作物でヤムイモの一種である「ギニアヤム」のゲノム解読に世界で初めて成功

熱帯アフリカではヤムと総称されるヤマノイモ(Dioscorea)属に分類されるイモ類が、主食として数百万の人々の命を支えています。しかしヤムは栽培化の途上にあり、また育種を行うにも、染色体上の遺伝マーカー等利用できるツールが無く、これらのことがヤムの品種改良を妨げてきました。
本研究では、ヤムのマーカー育種を加速させるため、ホワイトギニアヤム(D. rotundata)のゲノム解読を行いました。合計594Mbのゲノムが解読され、26,198個の遺伝子が同定されました。ゲノムデータの76.4%は、21のグループに分配され、染色体の遺伝的ならびに物理的地図を描くことができました。
全体としてDioscorea属は雌雄異株性を示し、これが育種を制限する大きな要因となっています。今回、この性決定に関与するW遺伝子座をQTL解析により特定し、ギニアヤムの雌雄を実生の段階で判別可能な分子マーカーの開発に成功しました。
岩手生物工学研究センター(IBRC)、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、ナイジェリアにある国際熱帯農業研究所(IITA)等との国際共同研究の中で、本学の植物ゲノム科学研究センターは、ミトコンドリアのゲノム解読を担当し、ギニアヤムのゲノムのアセンブルの精度向上に貢献しています。この研究で得られたゲノム情報は、これからのヤムの育種に大いに役立ちます。また、今回の手法は、分子的な基盤が整備されていない他の作物へ応用することが可能です。

本研究成果は、2017年9月19日付で、国際科学雑誌BMC Biology(online版)に掲載されました。

掲載論文
Tamiru, M., Natsume, S., Takagi, H., White, B., Yaegashi, H., Shimizu, M., et al. (2017). Genome sequencing of the staple food crop white Guinea yam enables the development of a molecular marker for sex determination (journal article). BMC Biology, 15(1), 86. doi:10.1186/s12915-017-0419-x.

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