紫野高校との高大連携授業理系実験体験を実施

京都産業大学の実験室の設備を利用し、大学で行われている先端的な科学研究を体験する高大連携授業を、7月16日、京都市立紫野高等学校2年生の生徒 46人を対象に実施しました。この連携授業は、生徒の科学探求に関する意欲・関心を高めることを目的に毎年開催しているもので、今年度も本学 理学部、総合生命科学部の教員により「物理」「生物」「化学」の3分野で講義と実験を実施しました。

物理分野では「実験で楽しむ物理の世界」をテーマに、理学部の鈴木 信三 教授と伊藤 豊 准教授が講義を行いました。鈴木 教授の授業では、雲の発生のメカニズムが気体の断熱膨張による温度変化であることを、講義と実験を通して学びました。伊藤 准教授の授業では、液体窒素を使ってマイナス196度になった磁石が起こす物質の相転移(磁石の自発磁化の発生と超伝導体の磁束ピニング効果)について演示実験を交えた授業が行われました。また、生徒たちは「永久磁石」「コイル」を用いて紙コップでスピーカーを製作し、電流と磁場の相互作用を学習しました。

生物分野では「遺伝子診断入門-お酒に強いか弱いかを決める(アルコール代謝酵素の)遺伝子-」をテーマに、総合生命科学部 板野 直樹 教授と千葉 志信 准教授が講義を行いました。最初に、飲酒後のアルコールが体内で「アセトアルデヒト」という毒性の強い物質に変化し、この「アセトアルデヒト」を分解する酵素遺伝子(アルデヒドデヒドロゲナーゼ)が2種類あることや、その遺伝子の組み合わせによって各人のアルコールの代謝の働きの強弱に影響することを学習しました。生徒たちはアルコールパッチテストにおいて、表現型によるアルコール反応を観察した後、自身の唾液からDNAを抽出し、PCR法を用いてDNAの中からアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子を増幅させ、自身の遺伝子の型によるアルコールの強弱を確認しました。

化学分野では「化学反応とタンパク質」をテーマに、最初に総合生命科学部 横山 謙 教授と津下 英明 教授が化学反応とタンパク質の構造についての講義を行いました。続いて、通常小さくて見ることのできない1分子であるタンパク質の化学反応を観察する実験と、多数のタンパク室分子が集まった結晶を作成し、X線をあててデータ測定することでタンパク質の電子密度(構造)を見る実験を行いました。
参加した生徒は、大学の充実した実験装置を使用し、熱心に実習に取り組んでいました。

授業終了後には、神山天文台や実験室、培養室、低温室、温室など理系学部の設備や、大教室棟、グローバルコモンズ、ラーニングコモンズなどの大学ならではの施設を見学しました。また、実験や講義の補助を行った本学学生とも交流を深めました。
気体の断熱膨張による温度変化についての講義
マイナス196度になった磁石が宙に浮く様子
アルコールパッチテストで表現型を確認した
ピペットマンの使い方について説明を受ける生徒
小さな球状の蛋白質であるリゾチームの結晶をつくる実験を行った
通常小さくて目に見えないタンパク質の動きを観察できるように作業を行った
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