『夏目漱石とその時代』展示(~3月31日まで)

2016.12.27

2017年が生誕150年にあたる夏目漱石は、日本の文学界に大きな影響を与えた人物です。

江戸時代最後の年である慶應3年に生まれ、49歳で亡くなるまで、漱石が生きた「明治」は日本史上画期的な時代でした。政治・経済・社会の様々な革命を通して、日本に近代化と西洋化がもたらされ、多くの哲学や文学論のもと、「何を信じるべきか」「人間はどうあるべきか」が論じられました。また、文化的には、古いものと新しいものとが調和した、独特な色調が作り上げられました。

このような状況下において、漱石は大衆文学から文学理論まで幅広い作品を著し、当時から高い評価を受けていました。文学においては、同時代の自然主義とは一線を画し、思想性と倫理性を貫きました。東洋と西洋の亀裂、愛とエゴイズム、知識人の孤独と不安など多彩な主題を描きましたが、それらは現代にも通じる重要な問題として多くの読者を得て、今日の日本の文学界にも多大な影響をもたらしています。

一個人としては順風満帆な人生を送ったとは言い難く、複雑で不安定な家庭環境に育ち、神経衰弱などの多くの病に悩まされています。同時に、大学予備門時代には首席を取り、文部省から直々に英国留学を任命されるほど、卓越した頭脳を持った人物でもありました。近代化していく日本と海外の国々を、漱石はその明晰な頭脳で捉え続けました。

今回の展示では、漱石の作品の特徴や、その中で描かれている人間像、本人の人柄など、作家・夏目漱石/人間・夏目金之助について幅広く紹介します。漱石の時代と同様に混迷している現代社会を生きていかねばならない学生の皆さんにとって、人生の一助となるような何かを掴んでいただきたいと願っています。

展示期間 2017年1月6日~2017年3月31日
展示場所 図書館1階 視聴覚カウンター横 展示スペース、パソコン室
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