「日本という場所」からの「世界」思想の探求

開催日時 2015年3月13日(金)9:00〜18:00、14日(土)9:00〜17:00
開催場所 京都産業大学 壬生キャンパス むすびわざ館4階会議室

講演者・代表質問者・フロア参加者

  • ロルフ・エルバーフェルト
    (ドイツ・ヒルデスハイム大学教授)
  • 金泰昌(公共哲学共働研究所長)
  • 小倉紀蔵(京都大学教授)
  • 中西寛(京都大学法学部教授)
  • 氣多雅子(京都大学文学研究科教授)
  • 秋富克哉(京都工芸繊維大学教授)
  • 王敏(法政大学国際日本研究所教授)
  • ロー・ダニエル(京都産業大学客員研究員)
  • 安部浩(京都大学大学院人間研究科准教授)
  • 東郷和彦(世界問題研究所長)
  • 森哲郎(文化学部教授)
  • 川合全弘(法学部教授)
  • 岩本誠吾(法学部教授)
  • 中谷真憲(法学部教授)
  • 高原秀介(外国語学部准教授)
  • 河原地英武(外国語学部教授)
  • 芦立秀朗(法学部准教授)
  • 焦従勉(法学部准教授)
  • 滝田豪(法学部准教授)

概要

 現在の世界における哲学の最先端の議論を、哲学を専門としない分野の人たちとともに行い、学際的な議論の発展の中から「世界問題は何か」についての新しい知見を産み出そうという試みは、今回のセミナーで第三回目を迎えた。2013年3月、2014年3月の最初の二回の会合では、哲学の側からの見解の発表が中心となり、他の専門分野の研究者はそれに対する質問や感想・意見表明にとどまった。今回は、これまでの議論を踏まえ、公共と国際政治と言う二つの分野の専門家も、平等な形でレジュメを用意して議論に参加する形をとった。このことは、各参加者が自分の専門分野について特別に熱い議論を展開させたり、専門分野の境界線にあたる問題については激しい議論が行われるなど、知的刺激に満ちた新しい議論をうみだすこととなった。

 13日午前の議論は、西田幾多郎とハイデッガーをめぐる哲学者からの発表が行われ、世界的になるために西田が必要とした「自覚」的な自己形成と、自己を絶対化しない「自己否定」の意味が説明され、そういう「場所」から「世界」に入っていく西田と、むしろ「世界」から「場所」に入るハイデッガーとの対比、両者にとってともに本質的な意味をもつ「言葉」の問題等について鋭い議論が交わされた。

 13日午後は、アジアの思想に焦点がうつり、鈴木大拙の「日本的霊性」に対し「ハン的霊性」を提起する韓国の見方が紹介され、第三の生命という「あいだ」に立ち現れる孔子の真の理解に話が及び、そういうアジアにおいて生まれつつある「間」の哲学を今の経済社会に適用した時におきるグローカルと言う考え方が紹介された。そこから中国経済における人間のあり方を考えるものとして、伝統的経済秩序の中の「包の倫理基準」、環境先進国日本との協力など現代社会の公共性に係る問題が熱心に議論された。

 14日午前は、国際関係論の中における政治思想がもつ様々な側面が議論され、国際関係の専門家の立場からの西田幾多郎理解が提起され、更に、韓国・中国・アメリカの立場からの国際政治と国民間の軋轢についての研究が紹介された。

 14日の午後はこれらを総合して「日本という場からいかなる世界思想が発出しうるか」について様々な議論がとびかった。国際政治の側からすれば、リアリズムのみを基調とする国際関係論で世界問題を解決するという考えは誰も共有せず、「文化」ないし「文化国家」としての日本についてはほとんどの参加者に違和感がなかったように感ぜられた。しかし、仮にそういう大きな思想的枠組みが共有できたとしても、今回のセミナーを開始した時の問題意識であった「無」というものをどう理解すべきか、それは今後今回作成されたレジュメのペーパー化の中で、更に明確な輪郭を取っていくことが期待される。

    −1日目−


  • 東郷和彦所長による開会挨拶

  • エルバーフェルト氏による講演

  • 氣多氏による講演

  • 秋富氏による講演

  • 安部氏による代表質問

  • 金氏による講演

  • 小倉氏による講演

  • 邊氏による代表質問

  • 岑氏による講演

  • 焦氏による講演

  • 会場の様子

    −2日目−


  • 東郷氏による司会

  • 中西氏による講演

  • 王氏による講演

  • ロー氏による講演

  • 高原氏による講演

  • 川合氏による講演

  • 会場の様子
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