【情報理工学部】3Dプリンタ講習会 in ファブスペース ~あなたもモノづくりを始めてみませんか?~

2023.06.19

ファブスペースとは、3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機器が取りそろえられた施設で、14号館(情報理工学部)にあります。講習会を受けると、情報理工学部の学生だけでなく全ての学生や教職員がさまざまな機器を使用することが可能になります。講習会は機器ごとに開講されており、今回は3Dプリンタの基本的な使用方法を学ぶ「3Dプリンタ講習会」を取材しました。
この講習会を受講することで、受講者はファブスペースに設置されている3Dプリンタを、いつでも使用できるようになります。

(学生ライター 法学部1年次 大江 優花)

講習会の講師を務める高見氏

ファブスペースには3Dプリンタをはじめ、3Dミリングマシン、レーザーカッター、UVプリンタ、カッティングマシン、デジタル刺繍ミシンがあり、メーカー違いを含めると最新デジタル工作機器が11種類あります。まずはWeb上で「ファブスペース利用講習会」を受けた後に、ファブスペースで機器ごとの講習会を受けることで機器を自由に使用できるようになります。

はじめに、講師を務めるファブスペースアドバイザーの高見 知里氏による講義で、ファブスペースにある3Dプリンタについての説明が行われました。3Dプリンタとは、3Dデータを基にパーツやフィギュアといった立体物を造形することができる機器です。自身で設計したものはもちろん、世界中の人々が設計したものも、オープンソース化されている設計データがあれば全く同じものを作り出せることが特長の1つです。今回の講習会で使用したのはAfinia H400で、フィラメントと呼ばれる糸状の樹脂を熱で溶かして造形する熱溶解積層方式の3Dプリンタです。

次に3Dデータの作成方法について説明がありました。自分で立体データを設計する場合は3Dモデリングソフトを使用しますが、オートデスク株式会社のFusion360は、寸法などで細かくモデリング(3Dデータ化)できるので部品やデバイス設計に向いているそうです。また、積み木のように図形を組み合わせてモデリングできる同社のTinkercadというWebアプリも紹介されました。どちらも利用条件を満たせば無料で使用できるソフトです。モデリングする以外には、3Dスキャナーなどを使ってスキャンして出力する方法もあります。また、Thingiverseなどといった3Dデータ共有サイトから、世界中の人々が作ったデータをダウンロードして出力することも可能で、著作者が示している使用条件(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)に関する説明もありました。

一通り説明が終わると、次は道具の説明がありました。ファブスペースの機材マニュアルを読み、道具を各自で用意します。

左からニッパー、スクレイパー、保護手袋
(左)3DプリンタAFINIA-H400、(右)制御用のノートPC

道具の用意ができたら、いよいよデータの設定です。今回は事前に決められた小さなパーツを作成するということで、データの加工設定を行いました。

加工設定を行うソフトウェア「Afinia Studio」に表示されている今回作成したデータで、ファブスペースの愛称「RE:DIRECTION」のモチーフ
出力の様子 上部にあるプリントヘッドのノズルから樹脂が押し出され、プリントヘッドと下のプレートを動かしてパーツが作られる

出力時にはノズルが高温になるため、やけどに注意しつつ作業を進めます。今回出力するパーツは縦横1.5センチメートルほどの小さなパーツなので2分ほどで出力が完了しましたが、より精度の高いパーツやある程度大きなものを出力しようとすると、数時間から半日以上の時間がかかることもあるそうです。

出力が終わりこれで完成!と思いきや、出力したパーツには「ラフト」や「サポート」と呼ばれる補助材が付いているので、これを外さなくてはなりません。ラフトは、出力物がプレートに定着するための土台、サポートは、出力したパーツが形を保ったままで出力されるようにするための支柱になる骨組みのようなものです。
今回出力したパーツは、複雑な形ではないためラフトが付いているのみでした。はじめにスクレイパーを使いプレートからラフトを含む出力物を外し、プレートから外した後はニッパーでラフトを丁寧にはがしていきます。講師の高見氏によると、プレートから外す際にスクレイパーで怪我をする場合があるので、慣れている人も気を抜かず、安全のために手袋を着用するようにアドバイスがありました。

「ラフト」と呼ばれる補助材をニッパーではがす
完成した「RE:DIRECTION」のモチーフ
土台となる「ラフト」(青丸箇所)、パーツの形を保つため鉛直方向に伸びる「サポート」(赤丸箇所)

ラフトをはがせたら完成です!
参加者に感想を聞くと「楽しかった」「ファブスペースを活用して、もっといろんなものを作ってみたい」などと話し、皆さん楽しそうな様子で、今後のファブスペース利用に期待をふくらませているようでした。

講習会終了後に、講師を務めた高見氏にお話を聞きました。

Q.文系学生でも気軽に利用して良いですか。

A.学部を問わず本学学生の皆さんにファブスペースを利用してもらえたらうれしいです!実際に体験し、どんな技術なのかを知るだけでも新しい発見があると思います。まずは気軽に見学や機器講習会へ参加してみてくださいね。

Q.どんなものを作製できますか。

A.例えば、学内のグッズストア Campus Shop M's styleにて販売中の学習支援グッズ「コノジ」は、情報理工学部の学生グループが受験勉強の経験を基に、ファブスペースを利用し、アイデア出しから試作・製作まで行ったグッズです。この他にも、オリジナルの収納グッズやスマートフォンをはじめとするデバイススタンド、ライト、作品紹介のキャプションなど色々なものが作られています。今まで作られた作品は、Twitter(@KSU_FabSpace)やInstagram(@ksu.fabspace)で紹介しているので是非見てみてください。何を作るかは皆さん次第です!授業や研究のための使用はもちろん、クラブ・サークルでの創作活動やオリジナルグッズ作製、神山祭(学園祭)の出し物で使うグッズ作製などに活用してください。

学習支援グッズ「コノジ」 京都産業大学の「むすびわざグッズ」として販売中
ファブスペースで作られたさまざまなグッズ

※機器講習会を受講するには事前にWeb上での利用講習会を受講の上、予約が必要です。詳細はファブスペース公式サイトで確認してください。


今回の3Dプリンタ講習会を経て、技術を身に付けることは創作の幅を広げてくれることが分かりました。例えば、絵を描くだけではなくて、その絵をグッズ化したり、自分で使うコースターをデザインして出力してみたり…。想像したものを実物として作り出せるのは、創作活動をしている人にとっては夢の一つなのではないでしょうか。私は、ファブスペースの他の機器講習会も受けてさまざま機器を利用できるようになり、創作活動の幅を広げていきたいと思いました。自分には難しいな、縁がないなと思っている皆さんにも、ぜひファブスペースを活用してみてほしいです。

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