大槻公一教授が産官学連携で家畜伝染病まん延防止のための「防疫バッグ」開発

2014.05.20

鳥インフルエンザ研究センター長 大槻公一教授が産官学連携で家畜伝染病まん延防止のための輸送用「防疫バッグ」開発

京都産業大学は、京都府および太陽工業株式会社と共同で、農林水産省の競争的研究資金の採択を受け(平成24年度・平成25年度)、家畜伝染病の発生時における殺処分家畜の輸送技術の確立に向けて研究を進めてきました。
そして、この度、家畜伝染病まん延防止のための輸送用「防疫バッグ」の開発に成功し、平成26年4月21日に共同で特許出願を行ったことから、藤岡一郎学長、本学鳥インフルエンザ研究センター長 大槻公一教授、京都府 山田啓二知事、太陽工業株式会社 能村光太郎代表取締役会長兼社長が合同記者会見を行いました。

家畜伝染病の発生時には、農場において殺処分した家畜の輸送が大きな課題となりますが、今回開発した「防疫バッグ」は口蹄疫ウイルスと同等の大きさの超小型ウイルス(20~30ナノメートル)を通過させず、処分家畜から発生するガスを通過させることが確認できていることから、安全に輸送することが可能となります。また、処理についても焼却可能な素材で構成しているため、収容状態のまま焼却処理が可能で、焼却時にダイオキシンなどの有害物質が発生しないことが確認できています。

藤岡一郎学長

本学の研究成果の還元による社会貢献を目的として、平成18年に鳥インフルエンザ研究センターを設置し、鳥インフルエンザだけでなく各種動物疾病対策の研究を進めてきた。京都府とは、昨年3月に産業振興に係る連携協定を締結しており、産学公の連携で挑戦し、昨今問題視されている防疫対策として、社会に新たな価値を提示できた意義は大きいと感じている。

大槻公一鳥インフルエンザ研究センター長

口蹄疫ウイルスは10ナノメートル(10億分の1メートル)の極小ウイルスで、消毒薬にも抵抗性があることから、いかに封じ込めるか全く新しい発想で開発した。口蹄疫は、アジア地域で継続的に発生しており、ヨーロッパ地域でも大きな被害が発生している。国家防疫として、鳥インフルエンザと同様に家畜衛生上の大きな課題である。

防疫バッグの特徴

  • 角や蹄の「保護カバー」と防疫措置の現場で熱溶着による密封が可能な「内袋」と酢酸ビニルのシートを高周波ウエルダーで縫い目無く接合した頑強な「外袋」で構成していることから、かさばらずに備蓄することが可能。
  • 口蹄疫ウイルスと同等の大きさ超小型ウィルス(20~30ナノメートル)を通過させず、処分家畜から発生するガスを通過させることが確認できていることから、安全に輸送することが可能。
  • 焼却可能な素材で構成しているので、収容状態のまま焼却処理が可能で、焼却時にダイオキシンなどの有害物質が発生しない。
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