MOC vol.19「空き家の活用からはじまる地域との関係性と未来」開催報告

2025.04.30

京都市上京区の西陣地区にある学外拠点「町家 学びテラス・西陣」では、大学生から社会人まで幅広い世代がともに学び、地域とつながり、地域との関わりを通して多様な生き方や暮らし方、働き方の選択肢を増やすことを目的とした学びの場「町家オープンカレッジ(略:MOC)」を定期的に開催しています。
2025年最初の町家オープンカレッジは「空き家活用」と「まちづくり」をテーマに「空き家の活用からはじまる地域との関係性と未来」というタイトルで開催しました。
はじまりの様子。まずは拍手!
今回のゲストはお二人。最初は大阪からお越しいただいた福永氏から。大学時代のお話から始まり、入社した会社を10ヶ月で辞めたお話、そしてリノベーション会社で設計や施工を数多くこなしながら、結婚を機に東京へ。東京では1.5坪の空間を借りてギャラリー&ショップを運営、さらに山口県の長門湯本において空き家活用や町並み保全、景観をより良くするためのルールづくりとパンフレット作成に関する仕事にも携われたそうです。 
福永氏のトークの様子
現在は子育てを機に大阪にUターンされ、元文化住宅を一棟丸ごとリノベーションして「はちふく文化GAMO-4」の管理人をされています。そこでは共有部でのコワーキングデイやお試し暮らしなどのイベント、地域のイベントと連動した内覧会などを企画開催されています。今後、新たな物件の活用もはじまるとのことで、これからも福永氏の動きが注目されます。

続いてお話を伺った三原氏は、京都の大学を卒業後、東京で就職されました。コロナ禍をキッカケにこれからどうするか?と考えて京都に戻り、建築家として独立。加えて縁があった広島県三原市の地域おこし協力隊になられました。その縁というのは…奥様のご実家が広島県にあり「三原」という地名を新幹線からよく見ていたから、そして自分の苗字と同じであるこの地域にいつか関わりたいという想いがあったからと話されました。そんないきさつに、会場からは驚きの声があがっていました。 
三原氏のトークの様子
三原市は元三原宿、海が近く比較的平坦なまちで、明治時代から埋め立てられている土地も多いところです。地域おこし協力隊では、人や歴史が重奏する地域拠点をつくることを目指し、まちの理想を共有するワークショップを実施したり、空き家を借りて自分たちがその空間をつくることを「空き家再生実践塾」として外に開き、周囲を巻き込むように活動をしておられます。

当日は一緒に協力隊として活動されている大工兼たこ焼き屋兼ゲストハウス運営者である四方氏もお越しになり、お二人の役割分担や地域での日々の活動をお話しいただきました。お話の最後には、理想とする地域拠点の事例も共有いただき、三原市のこれからがとても楽しみになりました。

その後は参加者も交えたトークセッション。
質問に答えてくれるゲストたち
空き家の活用や地域おこしとなると、地域との関係づくりが必要となりますが、お二人はどのように地域と関わっているのかをお尋ねしました。建築家自体が人と人を調整する役割だと思っているので、新たな地域でも抵抗はなく関わっておられるとのお話や、飲み会などのコミュニケーションの場について、キーパーソンを見つけることの大事さなどが語られました。

空き家の未来については、今後数が増えていく中で、改修やリノベーションのハードルが下がり、より多くの人が関わっていくことになるだろう、複数の家・拠点を持つ人や複数人で1つの物件を持つというスタイルが増えるだろうなど、多様な未来を感じさせるお話がありました。
人の生活が滲み出ているまちや、違う顔がみられるまち、面白い人がいるまちには自然と人が集まってくる、皆さんも自分がいいなと思うまちを探してみる、またはつくってみてくださいと締めくくられました。
質問する参加者たち
質問する参加者たち
 終了後の交流タイムでは、「面白い人を目指します」という声や、「働くことについて」の質問、「空き家の活用だけでなく将来の自分の生き方につながるヒントが得られた」との感想が寄せられました。
後日、このイベントをキッカケに実際に三原市へ行った方がいたり、福永氏が管理されている物件に行こうという話が出たり、イベント当日だけに終わらずその後のつながりが生まれていることをとても嬉しく思います。

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