「汎惑星気象学構築の先駆けになると期待」令和7年度 文部科学大臣表彰 若手科学者賞を理学部 安藤 紘基 准教授が受賞
2025.04.08
京都産業大学理学部 安藤 紘基(あんどう ひろき)准教授は、文部科学省が2025年4月8日(火)に発表した「令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、「電波掩蔽法と数値モデルを用いた金星大気の研究」の業績により、若手科学者賞を受賞しました。令和7年4月15日(火)に文部科学省3階講堂にて表彰式が行われます。
リリース日:2025-04-08
受賞理由 ※文部科学省発表から抜粋
地球・火星・金星の大気を比較して汎惑星気象学を構築する試みは古くからあり、前二者の大気は比較的良く調べられている。一方、金星には分厚い雲層があるため、光学機器では特定の高度帯しか観測できず、特に大気の鉛直構造に関する観測的知見が極めて乏しい状況にあった。安藤紘基氏は、独自構築したアルゴリズムにより惑星の気温を高精度で測定できる電波掩蔽観測データを解析し、雲層の上から下まで気温を導出して金星大気の鉛直構造を全球的に示した。また、簡易的な雲物理過程を導入した数値モデルを構築して金星の雲量分布を再現し、観測で得られた知見を基に、熱構造や大気運動を司る金星雲システムの包括的なモデルを提示した。本研究成果は、最先端の観測データと精巧な数値モデルを融合して金星大気の熱構造・運動・雲形成を包括的に論じた先進的なものであり、汎惑星気象学構築の先駆けになると期待される。受賞コメント
この度は、このような名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。本研究成果は決して私一人の力によるものではなく、国内外の共同研究者の皆様からの御指導やサポートの賜物です。心より感謝申し上げます。
一昨年、本学に神山宇宙科学研究所が設立され、学内における惑星大気研究が益々活発になっています。また、2030年代には欧米による3つの新しい金星探査が実施予定であり、本分野の発展に向けた期待が高まっています。これまで支えて下さった方々への感謝の気持ちと謙虚さを忘れることなく、今後の金星大気科学の発展に少しでも貢献できるよう、より一層研究に邁進する所存です。
安藤 紘基 39歳(2025年4月1日現在) 理学部准教授プロフィール

1986年1月 千葉県生まれ
2013年3月 東京大学大学院(地球惑星科学専攻)
にて博士(理学)取得
2013年4月~2016年3月 JAXAプロジェクト研究員
2016年4月~2017年3月 京都産業大学理学部 研究員
2017年4月~2019年3月 日本学術振興会特別研究員PD
2019年4月より現職
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