公開講座 臨地講演③「魚山声明の地を訪ねる-京都・大原東部の僧坊-」を開催しました

2024.03.21

2024年3月9日(土)、臨地講演会「魚山声明の地を訪ねる-京都・大原東部の僧坊-」を開催しました。大原のバス停からスタートし、呂川沿いの道を歩いて勝林院へと向かいました。途中の律川に架かる橋は三千院側からは「未明橋(無明橋)」、勝林院側からは「萱穂橋」と名を変えてよばれ、罪悪を行った人は渡れないという伝承があり、参加者は興味深く見学をしていました。
勝林院では本堂を拝観し、天納玄雄住職より寺院の草創・沿革や本尊 阿弥陀如来坐像が「証拠の阿弥陀」とよばれる由来をお話しいただきました。長和2年(1013)に勝林院を創建した寂源上人は姉が藤原倫子であり、その夫は道長です。大河ドラマにより『源氏物語』の作者、紫式部が注目されていますが、寂源上人もまさにその時代を生きたひとりです。
次に実光院を訪れ、書院から池泉鑑賞式の「契心園」と回遊式の「旧理覚院庭園」を鑑賞しました。天納住職からは、蓮成院にも「契心園」という同じ名称の庭園があるなど解説をしていただきました。さらに天台声明について触れ、呂と律の音階について節をつけて違いを説明されました。
「未明橋」
勝林院拝観
池泉鑑賞式庭園「契心園」
実光院を出た後は再び呂川沿いの道を上がり、蓮成院を訪ねました。蓮成院は来迎院の僧坊のひとつであり、通常は非公開寺院となっています。臨地講演では特別に客殿と持仏堂を拝観させていただきました。蓮成院には菊池契月や木島櫻谷ら円山四条派の画家による作品が所蔵されており、障壁画や屏風を鑑賞しました。また客殿から望む庭園「契心園」について、本学文化学部元教授・日本文化研究所 鈴木 久男 客員研究員が解説をしました。
そこから来迎院へと向かい、旧善逝院の庭園跡を見学しました。ここは文化学部 マレス・エマニュエル准教授とゼミ生が測量および発掘調査を行っています。鈴木客員研究員も協力されており、池跡の発掘など調査過程について話されました。最後は来迎院本堂にて内陣天井の天人画を鑑賞し、薬師如来坐像、阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像(いずれも国指定重要文化財)を参拝しました。解散をした後は希望者を募り、来迎院の更に奥にある音無の滝を見学しました。
当日の大原は雪がちらつき、天候が優れない中での開催となりました。参加者からは「寒かった」という感想が多く聞かれましたが、「恐るべし大原」、「知らなかった魅力に気づけ、また最新の発掘成果を聞けて楽しかった」などの声もあり、悪天候ながらも楽しんでいただきました。
蓮成院「契心園」鑑賞
旧善逝院庭園跡
音無の滝
PAGE TOP