MOC vol.14「縁側と庭園を切り口にしたニッチメディアの運営」開催報告

2023.09.25

京都市上京区の西陣地区にある学外拠点「町家 学びテラス・西陣」では、大学生から社会人まで幅広い世代がともに学び、地域とつながり、地域との関わりを通して多様な生き方や暮らし方、働き方の選択肢を増やすことを目的とした学びの場「町家オープンカレッジ(略:MOC)」を定期的に開催しています。

第14回の町家オープンカレッジは、縁側だけに特化したメディア「縁側なび」のウェブサイト開設10周年を記念して開催しました。縁側なびを運営する成瀬さんと、全国各地の日本庭園情報を届ける庭園情報メディア「おにわさん」を運営するイトウさん、多くのファンを抱えるお二人それぞれのメディア運営に対する思いを語りあっていただきました。

23歳で縁側なびを立ち上げた成瀬さんは、縁側の魅力に気づいて興味を持つ人を増やしたいとの思いでメディアを開設。これまでに230軒の縁側を見て来られたそうです。ヨガやデジタルデトックスとのコラボレーション等、さまざまなイベントも開催されてきました。
同様に、初心者にも気軽に庭園を知ってもらいたいと「お庭をゆるく愛でる」をキャッチフレーズに運営されているイトウさんは、1,900箇所の日本庭園を紹介してこられました。インスタグラムのフォロワーは8万人を超え、海外のインフルエンサーや著名人にもフォローされているそうです。

イトウ マサトシ氏
成瀬 夏実氏

はじめに、お二人が感じる縁側と日本庭園それぞれの魅力、メディア立ち上げに至った経緯についてお話しされました。どちらも言葉にできない「癒し」としての存在が共通の魅力で、お二人とも初めて訪れた時の「なんかいい!めっちゃいい!」という気持ちが最初の一歩だったそうです。その後、イトウさんはまとまった情報源の必要性を感じ、ウェブサイトを開設。一方の成瀬さんは、膨大な数のサイトに埋もれない素材として縁側を選択されたそうです。理由は異なりつつたくさんの方に魅力を届けたいとの思いは共通で、お二人とも初心者にもわかりやすく情報と魅力を届けてくださっています。それは「なび」「~さん」という柔らかな響きのひらがなタイトルを付けられていることからも伝わりました。

次に、運営にあたっての技術的な問題や手法について話が弾み、さらに今回のテーマである「ニッチ」に関する話題では、ニッチだからこそできたことや、逆にニッチであることによる不安についてお話しされました。有名なテレビやラジオ番組等大きなメディアで紹介されることもあるお二人ですが、それは他に取り組んでいる人が少ないニッチメディアだからこそではないかとおっしゃるお二人。また、ニッチであることへの不安については、同世代の興味に沿ったイベントを開催することによって応援してくれる人を増やしていったと成瀬さん。一方のイトウさんは、日本全国の庭園来場者数を考えると不安どころか「おにわさん」はまだ可能性を秘めていると語られました。今後も新しい情報が期待できそうです。

最後に二つのニッチメディアの今後についてお話しされました。当初の目標であった10年を迎えた成瀬さんは、新しいニッチコンテンツにも興味を向けつつ、今後も緩やかに縁側と関わっていかれるそうです。イトウさんは、次世代の「おにわさん」育成も検討しながら、引き続き日本庭園の魅力を発信していかれます。

コロナ禍によってオンライン開催となっていた町家オープンカレッジは、今回が初めての完全リアル開催となり、お二人のお話のあとは、縁側に腰かけてライトアップされた庭を眺めながら参加者同士で交流されたり、和やかな時間を過ごして終了しました。
学生と社会人が、共に学び、気づきを得る町家オープンカレッジ。次回もお楽しみに!

イベントの様子
記念撮影
イベント後の交流
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