「西陣の地域から2040年の未来を描く」町家オープンカレッジ・プラスを開催しました

2023.05.09

本学の学外拠点「町家 学びテラス・西陣」では学生と社会人がともに学ぶ場「町家オープンカレッジ(MOC)」を開催しています。今回は、いつものMOCから地域に一歩踏み出して開催した「町家オープンカレッジ・プラス」の様子をお伝えします。

開催概要

西陣の地域から2040年の未来を描く
~自身の好奇心から出発し、社会や地球環境まで視野を広げて未来を切り開こう!

開催日程

  1. 2022年11月2日(水)オリエンテーション、チームアップ、西陣についてのレクチャー
  2. 2022年11月16日(水)地域企業へのフィールドワーク
  3. 2022年12月3日(土)未来シナリオのデザイン
  4. 2022年12月21日(水)プレゼンテーション、フィードバック、チームの振り返り

協力企業

タイヨウネクタイ株式会社株式会社アセェス株式会社西陣まいづる藤原食品

コーディネーター

株式会社ツナグム タナカ ユウヤ氏

ファシリテーター

一般社団法人Deep Care Lab 川地 真史氏、田島 瑞希氏

参加者

本学学生9名、他大学学生3名

DAY1:オリエンテーション、チームアップ、西陣についてのレクチャー

初顔合わせとなった初日は町家に集まり、今回のプログラムの目的やスケジュールの確認、チームづくりを行いました。参加者は、本学を中心に他大学も含む大学生12名。ファシリテーターの「Deep Care Lab」のお二人からは、今回のプログラムの趣旨と西陣らしさを考えつつ環境問題の現状や地域との関わりについて、また、オブザーバーの京都市役所河北様からは西陣の歴史や今の取り組みをお伺いしました。参加学生にとって、自分たちの身近な部分からより遠い世界や社会のことについてまでを考える時間となりました。
左から、写真①:当日のスライド、写真②:西陣らしさとは?、写真③:京都市役所河北様からのレクチャー

DAY2:地域企業へのフィールドワーク

この日は地域企業へのフィールドワークということで、4チームに別れ、それぞれ2社ずつ地域企業を訪問しました。
西陣織の帯をつくる「株式会社西陣まいづる」では西陣織や西陣の歴史と変化や新工場の設立にかける想いについて、不動産を軸に西陣で宿とカフェを展開する「株式会社アセェス」では観光と地域の関係性やこれからの展開について、西陣織のネクタイをつくる「タイヨウネクタイ」では細かな織の技術とこれまでの会社の変遷や挑戦について、納豆の製造と新たな文化をつくる「藤原食品」では納豆の作り方から販売における工夫について、お聞きしました。
事前に準備していた質問だけでなく、各社と話している中から新たな問いを見つけたり、工房見学や商品を実際に手に取る中で無数に質問することが出てきたり。逆に企業から質問をされることもあり、どのチームも地域企業と深い対話の時間となりました。
左から、写真①:株式会社西陣まいづる、写真②:株式会社アセェス、写真③:タイヨウネクタイ、写真④:藤原食品

DAY3:未来シナリオのデザイン

DAY3は朝から夕方までグループワーク。DAY1やDAY2を振り返りながら、過去から現在・未来を可視化する年表作りと、それらを補完する情報やニュースのリサーチ、2040年の西陣や地域企業の在り方を提案するためのプレゼンテーションに向けたシナリオ作成などの作業を行いました。
地域企業への訪問を踏まえ、企業の歴史や想いについては年表に描けるものの、未来となったときには苦戦するチームが多々ありました。シナリオの作成を踏まえ、プレゼンテーション作りにまで到達したチームは実際の発表時間に合わせた練習をしたり、未完成のチームは担当分けや打ち合わせ日程を決めたり。DAY4に向けての準備はそれぞれに委ねられましたが、LINEグループでのフォローやオープンデイの時間を使って実際にアドバイスを受けることもできて、各チームの準備は少しずつ進んでいきました。
左から、写真①②:年表やシナリオづくりの様子、写真③:進捗状況の共有時間

DAY4:プレゼンテーション、フィードバック、チームの振り返り

最終日は、自分たちの考えたことをまとめて発表する日。各チームは午前中から町家を訪れ、発表に向けた追い込みを行っていました。その姿はまるで夏休み終了前の小学生のようでしたが、全チームがなんとか準備を終えることができ、ご協力いただいた地域企業の方々や京都市役所の方、オブザーバーとして来室されたグローカル人材センターの方などを前に、フィールドワークでわかった各社の強みや課題、これからの方向性や可能性、さらには未来や環境へのリサーチを踏まえた上での提案を発表しました。

各チームからのプレゼンテーション後には、会場から、提案に至る経緯やその背景に関する質問、実際にはいくらでやるのか?など提案の具体化に向けてのさらなるアイデアなどもあれば、西陣の歴史について深める話、プレゼンテーションの作り方や見せ方、社会に出る時に大事にして欲しいこと、自由な発想を持ち続けることや自分ごとの重要性についてなど、フィードバックと講評をいただきました。

左から、写真①:発表時の会場の様子、写真②③:地域企業の方々からのフィードバックの様子
最後に、今回のプログラム全体やプレゼンテーションを経ての気づきや学びを、参加者である大学生、地域企業、企画運営担当者も含めて振り返り、それぞれが2040年に向けてこれから何ができるか、明日からのアクションを考えて、全員で共有しあって終了しました。
自身の未来も、西陣の未来も楽しみになった初めての町家オープンカレッジ・プラス。次回の開催もお楽しみに!
皆様、お疲れ様でした!

参加者からの感想

  • 西陣は人と人とのつながりが強い地域だと感じました。職人不足や産業の衰退などの課題があるが、それらも含めて伝統を受け継いで行くことが大切だと気づきました。もっと西陣という場所や伝統産業、そこに住んでいる人たちに関わりたいです。
  • 2040年という未来を考えてみて自分が思っているより難しいなと思った。今の状態が一番良いのではと何度も思ったし、未来を考えるにはある程度の知識や社会問題を知っておくべきだと思った。魅力的なお店なども沢山あったのでまた西陣に遊びに来たい。
  • 普段、西陣のまちを歩くだけだが、今回のプログラムを通して地域企業の皆さんにお会いしたことでとても重要な体験として記憶に残りました。一緒に体験するなどの行動をしていきたい。
  • 未来は無限大だということと、地域や産業を守ろうとする人たちの想いを感じることができました。今回、知ることができた西陣織のことをより理解したいし、実際に行ってみたいし、提案したこともやってみたいと考えています。

最終プレゼンテーション抜粋

対象:タイヨウネクタイ株式会社
「持続可能な取り組みで伝統産業もサステナブル」
ファッションにおける社会問題やネクタイの用途の変遷、新しい繊維や素材の開発などの時代変化を踏まえ、これからはサステナブルとダイバーシティに取り組む「社会課題解決型・伝統企業」として、自然に還る素材の活用やネクタイのレンタル、ネクタイの回収からのサブスクリプションによる販売、さらには、男性のイメージが強いネクタイを女性も使えるように活用する提案となりました。
対象:株式会社アセェス
「KéFUのこれから」
すでに新しい宿泊の形や地域に密着した取り組みをされているその先で、ツアー企画をすることや観光だけではない移住や人生相談を行うこと、KéFUをブランド化して京都から全国各地にKéFUのモデルを広げ、サブスクリプションで各地を行き来すること、接客ロボットによる無人化や決済システムの簡略化などのDXを目指した提案がありました。
対象:株式会社西陣まいづる
「西陣織にもっと愛着を」
高い品質を保つ技術と自社で生産できる体制がある強み、現在の着物離れや職人不足を踏まえ、まずは西陣地域としての交流拠点である「まいづるランド」をつくり、その場所で西陣織の体験ができたり、帯のリペアができたり、子供の居場所にもなることからその先に、職人を目指す人の受け皿にもなっていくとの未来シナリオを発表いただきました。
対象:藤原食品
「納豆が繋ぐ、ねばねば文化コミュニティ」
大豆の生産や納豆の食べ方、業界のリサーチを踏まえ、今後の未来としては地域に根ざした京納豆文化の推進としてまずは子供たちが大豆をつくり、その大豆を使った納豆を食べるなどの活動、納豆を軸としたコミュニティやナットワーク(納豆とネットワークによる造語)づくり、環境に配慮したパッケージフリーへの提案をいただきました。
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