新学長・新同窓会長対談
ーもっと卒業生に開かれた大学をめざしてー

2021.03.29

筒井同窓会長(左)と黒坂学長(右)(神山ホール3階)
2020(令和2)年10月、京都産業大学の学長に生命科学部の黒坂光教授が就任され、12月には筒井基好氏が本学同窓会長に就任されました。同じ7代目として、新たなスタートを切ったお二人。今後、大学と同窓会がどのように連携していくのか、お話をうかがいました。

1.同窓会長として、課せられた課題とは

——筒井会長、この度はご就任おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。
筒井基好同窓会長(以下、筒井):光栄です、その一言につきます。30年前の自分に「将来すごいことになるから、真面目に勉強して充実した学生生活を送りなさい」と言ってあげられたらよかったです。しっかりがんばっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
——会長として、同窓会ではどのような役割を果たしていきたいとお考えですか?
筒井:京都産業大学の同窓会は1969(昭和44)年に第1期卒業生の有志が中心となって設立され、2019(令和元)年には50周年を迎えました。現在、同窓会員は全国に126,114人。国内外に41もの支部があります。
京都産業大学同窓会50周年記念祝賀会(2019(令和元)年12月8日(日)グランドプリンスホテル京都)
すでに全国組織としての形はできているので、今後は幅・厚みのある、多角的視点をもった組織を目指していきたいと考えています。たとえば仕事の分野や、学生時代に所属していたクラブなどの団体で集まるなど、同窓生の方々がコミュニケーションをとりやすいような体制を少しずつつくっていきたいですね。

加えていうならば、現在はコロナ禍で物理的なコミュニケーションがたいへん難しくなっています。そのことをひとつのチャンスとして捉え、今後はインターネットの活用も考えていくつもりです。そうした取り組みこそ、私のような少し若い会長に課せられた課題ではないかと思っています。

2.社会で活躍することが、在学生への「応援」になる

——お二人の目から見て、京都産業大学はどのような大学だと思われますか?

筒井:なんといっても明るくて、元気があって、チャレンジ精神旺盛。それがこの大学のいちばんの特色だと思います。学生時代には、それを実感していなかったかもしれません。でも社会に出て仕事をするなかで、困難に遭ったりピンチに陥ったりしたとき、支えになったのが学生時代に培われた「神山スピリット」だったなと。これが今の私の心の基盤にあると感じています。学長はどう思われますか?
黒坂光学長(以下、黒坂):私もやはり、同じような印象を持ちますね。明るくて元気で、そして素直であるというところが、本学学生の大きな特長だと思います。社会に出ても多くの方に受け入れてもらえるような、そういう学生が多いのではないでしょうか。筒井会長は、そんな京都産業大学のイメージを体現されている方だなと感じます。
筒井:ありがとうございます。昔から「なんでもやります!」というスタンスでした。言われたことや、自分で発見したことはなんでもやっていく。そういう素養を、私は京都産業大学で育ててもらいました。

黒坂:確かに、どんなことでも嫌がらずにやって、最後までやり抜くというのも本学の学生の特長だと思います。
——お二人はほぼ同時に、学長として・同窓会長としてのスタートを切られました。同窓会のこれからについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか?

黒坂:キャンパスでは多くの教職員が、学生を育成するために教育やクラブ活動の支援、就職の支援等々を一生懸命行っています。それに加えて、同窓会からの熱いご支援。いつも、非常に力強く感じています。

筒井:私たち同窓会員は、在学生にとって最大の応援団のつもりでがんばっています。一言で「応援」といっても、いろいろな側面があると思うんですね。でもいちばんは、我々同窓生が社会でしっかり活躍することなんじゃないかと。その姿を在学生に見てもらうことが、同窓生の誰もがすぐに実践できる「応援」のひとつではないかと考えています。
同窓会設立50周年を記念して本学に寄贈されたモニュメント「内なる星」(本学図書館前 観山庭)
黒坂:そうですね。ただ在学生を見ていると、卒業生のみなさんがこれだけ力を入れて応援してくださっているということや、すばらしい先輩がたくさんいて、社会で非常に活躍されているといったことに、気がつかないまま卒業してしまっている人が多いようなんですね。ですからこれからは、在学中から卒業生の存在を理解してもらうということが大切だと思っているんです。

筒井:在学生と同窓生をつなげられるような取り組みを行うこと。それがこれからの同窓会のたいへん重要な役割なのだと、今お話をうかがっていて改めて認識しました。

3.学び直しや講演など、卒業生が帰ってきやすい大学へ

——卒業生にとって、大学はどのような存在になっていくのでしょうか?

黒坂:大学は、もちろん在学している学生のためのものなのですが、これからは卒業生の方が帰ってきやすい環境をつくることも大切だと考えています。今は社会の動きが早いので、「学び直し」も必要になってくるはず。そういう機会を提供できる大学にしていきたいと思っているんです。

筒井:確かに学び直しは、今後の社会でとても大きなテーマになってきそうですね。私自身も学生時代の過ごし方にはいろいろと反省があり、仕事をするなかで「もうちょっと勉強しておけばよかった」と思うことはたくさんあります。
学び直しも含めて、もっともっと同窓生たちが大学に関われる。そんな時代に変わっていけばいいなと思いますし、そのための仕組みづくりを私たち同窓会もお手伝いしていきたいです。

黒坂:社会に出て感じられたことを在学生に伝えてもらうというのは、勉学の意識を高めることに非常に役立つと思います。何よりも、卒業生の方にそれを伝えていただくというのが学生の心にはいちばん響くんですね。自分たちと同じルートをたどった先輩の経験談というのは、本当に説得力があります。学び直しで大学に帰ってきてくださることに加えて、教える側としても帰ってきていただくということも考えています。

筒井:優秀な在学生にどれぐらい教えられるかわかりませんが、母校の後輩にお話できるというのは、私たちにとってはたいへん名誉でうれしいことだと思います。そのためにも、同窓会としてやれることをしっかりやっていきたいですね。

黒坂:ありがとうございます、大いに期待しています。

4.どれだけキャンパスが変わっても、変わらないものがある

——筒井会長は、同窓会の代表として大学に期待されていることはありますか?

筒井:同窓生の多くは、「もっと大学に近寄って見てみたい、来てみたい」という思いを持っているはず。同窓会として、そういったチャンスをこれからつくっていけるように、大学のみなさんにもご協力をお願いしたいと思っています。あまりにもキャンパスがきれいになってしまっているので、「総合体育館も知らない、神山ホールも知らない」という同窓生の方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと。そうした方にも、ぜひ実際の体験やインターネットを通して、今の大学に触れていただきたいですね。

黒坂:大学が本当に様変わりしてしまったので、きっと驚かれると思います。とくに初期の卒業生の方は、山の下のほうにまでキャンパスの敷地が広がっているということにびっくりされるのではないでしょうか。
雄飛館に描かれたモニュメントグラフィック「ONLY ONE CAMPUS」
筒井:私の目から見てもずいぶん変わりましたが、時代に応じて変革・成長していっている様子を見ると、同窓生としては安心します。母校がこれだけ発展しているんだから、自分ももっと成長していかないといけないなと。久しぶりにキャンパスに来ると、そんな気持ちになります。

黒坂:ただ建物はいくら変わっても、場所はずっと同じでワンキャンパスですから。この上賀茂の地で脈々と学生が育ってきているということも、実感していただけると思います。

筒井:場所が変わらないというのは、同窓生にとってはたまらない魅力ですね。様相は変わっても、芯の部分は変わらないということが、うれしくてしょうがない。実家に帰ってきたような感覚です。

黒坂:キャンパスを歩いていただいたら、きっと身体が坂道や三叉路などを覚えていると思います。それから自然豊かで美しいというのも、昔から変わらないキャンパスの魅力ではないでしょうか。
三叉路にて

筒井:
本当にそうですね。学生時代は春夏秋冬を感じる余裕もなく、あっという間に4年間が過ぎてしまったような気がしますが、改めて訪れると「こんなに美しいところがあったんだなあ」と感動します。同じ風景を見ているはずなんですが、感じ方が違うんですね。学生時代とは違ったすばらしさを感じられるというのも、ずっとワンキャンパスであることの価値だろうと思います。


5.卒業生のみなさんへ、メッセージ

——最後にお二人から、卒業生のみなさんにメッセージをお願いします。
筒井:同窓生のみなさん、久しぶりに大学に関わってみませんか?そのチャンスを、これから同窓会としていろいろとつくっていくつもりです。ただ、先ほども言いましたが、みなさんが社会で活躍されていること自体が、京都産業大学の同窓生として関わっているということであり、在学生への応援であると考えています。

これからもますます社会で活躍していただき、京都産業大学の同窓生としての自信と誇りをいつまでも持ち続けるなかで、ときにはみなさんで集まって交流をはかり、同窓生の輪を広げていければいいなと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

黒坂:現在、本学の卒業生は150,543人、同窓会の会員は126,114人いらっしゃいます。計算が正しければ、日本の人口の1,000人に1人は本学の卒業生。関西では数百人に1人はいらっしゃるはずで、これは本学にとってものすごく大きな味方がいるということです。みなさん、いつも遠くから大学のことを気にかけてくださっているのですが、同窓会長がおっしゃるように、これからはさらに関わっていただけたらと思います。

私たちも同窓会長とご相談しながら、卒業生のみなさんが大学に来ていただける機会をつくっていきますので、ぜひ学生の育成にお力を貸していただけますと幸いです。

取材日/2021(令和3)年2月3日(水)

プロフィール

同窓会長/筒井 基好(つつい もとよし)

1996(平成8)年 京都産業大学 経済学部 卒業。
1996(平成8)年 フクビ化学工業株式会社に入社。
2001(平成13)年に同社を退職。2001(平成13)年 都タクシー株式会社に入社。
その後、取締役副社長、代表取締役副社長を経て、2005(平成17)年12月、代表取締役社長に就任、現職。
2014(平成26)年 京都産業大学同窓会評議員に就任。
その後、同窓会理事を経て、2020(令和2)年12月、京都産業大学同窓会会長に就任、現職。
趣味:マラソン、好きな言葉:働かざる者喰うべからず

学長/黒坂 光(くろさか あきら)

1986(昭和61)年 京都大学大学院 薬学研究科博士後期課程 修了。
1986(昭和61)年 薬学博士(京都大学)。
1986(昭和61)年 京都産業大学国土利用開発研究所に奉職。
その後、工学部教授、総合生命科学部長、理事、副学長などを経て、2020(令和2)年10月、京都産業大学学長に就任、現職。研究分野は「神経糖鎖生物学(神経発生における糖転移酵素の機能解析)」。
趣味:将棋、好きな言葉:人間万事塞翁が馬

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