経済学部WLBセミナーを実施しました(12月19日)

2020.01.16

12月19日、経済学部WLBセミナー特別企画を実施しました。今回は、山下智子・茂夫妻のダブルケアの経験を踏まえた『介護×育児×仕事』について、お話を伺いました。
智子氏は3児の母であり、合同会社 「らいふ&すたいる」の代表をされています。阪神淡路大震災を契機に福祉の道に進むことを決め、20年以上のキャリアをお持ちです。
茂氏は、幼稚園の時に老人ホームで踊ったことから福祉に関心を持ち、現在は介護分野のフリーランサーとして活躍されています。
ダブルケアとは、介護と子育て(原則として6歳まで)が同時進行している状態のことです。少子化、核家族化、晩婚化などにより深刻な問題となっています。平成28年4月の内閣府調査では、ダブルケア人口は約25万人で、30~40歳代がその8割を占めます。講師の家庭では、智子氏の父の介護に加え、3児の出産育児が重なり、10年間ダブルケアの状態にありました。
その間、智子氏は、仕事を継続すべく自宅に介護事業所を立上げています。出産前後には介護施設のショートステイを利用するなどの工夫を重ね「両立」ではなく、「ライフワークブレンド」を提唱、実践してきました。ダブルケアの間には、自分の人生だけではなく、父母や子など「世代」という縦軸が絡み合うことから家庭も仕事も充実したといいます。
子どもたちは「動けないおじいちゃん」を受入れ、食事の時に口を拭うなど自然と行っていました。介護を介護と思っていないのです。孫に看取られて父は逝きました。「じいじおきや」と子どもたちは声をかけ続けていたそうです。介護から解き放たれた開放感はありましたが、延命にかかる「父の意思」を確認していなかったことを悔い、延命措置を施さなかったことに悩み苦しんだそうです。
受講者の質問を受ける時間もありました。ライフワークブレンドを実践する上で必要なこととして「育児介護などの社会保障の知識を得た方がいい。自宅介護は軽費で済むが、施設介護は早めの準備が必要。出産はすばらしい経験だった。夫婦間で、お互いの負担を思いやり「ありがとう」と言葉にすることが大切。ライフワークブレンドの実践から「命の大切さ、心の豊かさを得た。人生100年の時代。年は重ねていくもので、シワの中にある若かりし頃を想像できるかが大切である」と話されました。
また、介護現場で戦争体験を聞き、平和な社会のために文字化を図っているそうです。子どもたちの未来のために、地球環境、海洋ゴミ問題などもつながっている課題であり、戦争もなく平和に過ごしていけるようにしたい。一人で生きているのではなく、多くの人に支えられて生きていることを感じてほしいとのメッセージが送られました。

セミナーの様子
講師:山下 茂氏
講師:山下 智子氏
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