総合生命科学部 河邊 昭 准教授のグループが、モデル植物のシロイヌナズナとその近縁種を用いて葉緑体のRNA編集の進化を明らかにしました

概要

植物の葉緑体は独自のゲノムを持つ細胞内小器官であり、葉緑体のゲノムにある遺伝子は転写されたのちにその一部の塩基が変わるRNA編集を受けることで制御されています。RNA編集は、植物の細胞小器官ゲノムにおいてCヌクレオチドをUに置換することによってRNA配列を変えることが出来ます。 RNA編集のパターンは異なる種の間で違いが有り、RNA編集の保存と変化のパターンを理解することで、RNA編集の機能的側面を評価することが可能になります。本研究では、モデル植物であるシロイヌナズナを含むシロイヌナズナ属の葉緑体ゲノムにおけるRNA編集の相違を分析しました。RNA編集の変化は葉緑体ゲノムの配列の変化と核ゲノムの遺伝子の変化の2つに区別することが出来、それぞれの種に起こった変化を記述することが出来ました。また、実際にRNA編集の変化の1つがPPR遺伝子OTP80の欠損によって引き起こされたことを明らかにしました。 RNA編集の変化は約200万年ごとに起こっており、機能的に重要な部位では観察されませんでした。これらの結果は、進化の過程でどのようにRNA編集が変化しうるのかを解明する手掛かりになると考えられます。

本研究は、文部科学省 科学研究費補助金(新学術領域研究)(特別研究員奨励費)、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「植物における生態進化発生学研究拠点の形成 -統合オミックス解析による展開-」の支援を受けました。

本研究成果は国際科学雑誌Plant Science3月号に掲載されました。

掲載論文タイトルと著者

Kawabe A1, Furihata HYM1, Tsujino Y1, Kawanabe T1, Fujii S2, Yoshida T1. (2019)
Divergence of RNA editing among Arabidopsis species.
Plant Science 280:241-247. doi: 10.1016/j.plantsci.2018.12.009
1 京都産業大学総合生命科学部、 2 東京大学農学研究科
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