京都産業大学大学院 理学研究科 新中善晴さん(博士後期課程3年次)らが
太陽に近づくアイソン彗星の観測に成功

日本時間で11月16日(新中さんの観測の数時間後)の
アイソン彗星の姿。
画像提供:藤井 貢さん
(共同研究者、岡山県倉敷市在住)

 京都産業大学の研究者を中心とするグループは、ハワイのすばる8.2m望遠鏡と可視光高分散分光器HDSを用いて、話題のアイソン彗星が急激に増光したところを観測することに成功しました。今回の観測は、京都産業大学・理学研究科(博士後期課程3年)の新中善晴さんが中心となり、京都産業大学神山天文台の河北秀世 台長を含む研究グループで実施したものです。アイソン彗星の急激な増光の謎を解く鍵になると期待されています。

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※神山天文台では、11月30日(土)に、緊急企画として神山天文台長 河北秀世による特別講演「あなたはアイソン彗星を見たか?」を開催し、今回の観測についてもお話する予定です。

観測を主導した理学研究科 新中善晴さんのコメント

京都産業大学 理学研究科
新中善晴さん(博士後期課程3年次)

 「今回観測に成功したアイソン彗星は、当初の予想より暗かったため、時間内に予定した観測が行えるか心配でした。しかし、観測直前に急増光の報告があり、増光直後に行う我々の観測が非常に重要な観測になると思うと大変興奮しました。今回のデータを詳細に解析し、原始太陽系円盤から彗星に取り込まれた分子の形成温度や急増光の原因となった可能性のあるガスの成分比などを詳しく調べ、アイソン彗星の起源や急増光のメカニズム、太陽系の成り立ちを明らかにしていきたいと考えています。

 また、神山天文台でも、本学で開発中の近赤外線高分散分光器を用いた観測の準備を進めているところです。この装置は、すばる望遠鏡に搭載されている同種の装置に勝るとも劣らない高い性能を持っていますので、観測が非常に楽しみです。」

 新中さんは、本学理学部4年次在籍時から彗星の研究を始め、これまでにも、彗星に含まれるNH2ラジカルやH2O+イオンの観測から彗星に含まれる氷が作られた時の温度を明らかにする研究を神山天文台で行い、世界をリードしています。

【代表的な学術論文】

  • Shinnaka et al. (2013), Icarus, Vol. 222, 734-739.
  • Shinnaka et al. (2012), The Astrophysical Journal, Vol. 749, id 101.
  • Shinnaka et al. (2011), The Astrophysical Journal, Vol. 729, id 81.
  • Shinnaka et al. (2010), Publications of the Astronomical Society of Japan, Vol. 62, 263-271.

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