教員紹介寺地 徹

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寺地 徹TERACHI TORU

総合生命科学部 生命資源環境学科 教授

専門分野
植物分子遺伝学、植物オルガネラゲノミクス

研究テーマ・内容

高等植物のオルガネラ(葉緑体とミトコンドリア)に含まれるゲノム(DNA)やこれらのゲノムにコードされている遺伝子の研究を行なっています。一般にオルガネラゲノムは、母親のみから子孫へ伝わる性質を持っており(細胞質遺伝という)、ひとつの細胞内に同じコピーが多数存在することが知られています。このような性質からオルガネラゲノムは、植物の系統進化を考察するための母系マーカーとして古くから利用されてきました。一方でオルガネラゲノム上の遺伝子は、光合成や呼吸など、植物の基本的な営みに大きく関与することが知られており、突然変異により斑入りや花粉形成不全など興味深い表現型が観察されることがあります。さらに近年、葉緑体ゲノムは、遺伝子工学の対象になっており、外来遺伝子の導入による組換え植物の作出が広く行われるようになってきました。
私の研究室では、以前から実施してきたオルガネラゲノムに関する研究をもとに、最近は高等植物の葉緑体の形質転換に取り組んでいます。その成果として、有用遺伝子を葉緑体ゲノムに持つ、様々な組換えタバコやレタスを作出できるようになりました。また、次世代シークエンシングなどの手法を用いてダイコンやコムギ近縁種のミトコンドリアゲノムの構造を初めて明らかにすることにも成功しています。高等植物のオルガネラのゲノムや遺伝子には、不思議なこと、わからないことがまだ沢山あります。今後もこの分野の研究を継続したいと思っています。

担当科目

春学期

基礎遺伝学、生物学通論A、生命・環境科学の世界、応用特別研究1・2

秋学期

基礎特別研究、植物分子遺伝学、生命・環境科学の世界、生命資源環境学実験・演習I、応用特別研究1・2

プロフィール

出身地:北海道函館市
出身高校:北海道立函館中部高校
出身大学・大学院:京都大学 農学部 農林生物学科・京都大学 農学研究科 農林生物学専攻(京大農博)

受験生へのメッセージ

私は主にパンコムギやダイコンなどの高等植物を材料に、30年以上も遺伝の研究を続けています。ヒトやショウジョウバエなど、動物の遺伝にも面白いことは沢山あると思いますが、メンデルが最初に遺伝の法則を発見したときに使った材料(エンドウ)は高等植物ですし、細胞質遺伝の現象が最初に発見されたのも高等植物なので、植物の遺伝研究には歴史的な重みを感じています。実際、パンコムギやダイコンの研究論文を読んでみると、これまで先人が積み上げてきたこの分野の学問の奥深さに感動します。自らの発見がこの分野の研究に新たな1ページを加えることができれば本望です。皆さんも是非、京産大の私の研究室で、植物遺伝学の歴史づくりに加わって下さい。

分属前学生へのメッセージ

まずは私が担当している基礎遺伝学も含め、必修科目をしっかり勉強してきてください。また英語の鍛錬もお忘れなく。そのうえで、遺伝がかかわりそうな植物の生命現象のあらゆることに、大いに好奇心を持ちましょう。そこに世紀の大発見が隠されているかも知れません。

研究室の構成、様子、特別行事など

研究室には大学院生、学部学生の他に、何人かの研究員(常勤・非常勤)が在籍しています。今いる研究員は、実は全員私の研究室のOG(今の学生からみれば大先輩)ですので、私より学生の気持ちがよく分かるようです。研究室の雰囲気は「自由」。いろいろなことからの「自由」を尊びますが、自由には必ず「責任」が伴いますので、その点を強く意識して行動してもらえるよう、指導したいと考えています。毎夏、松の浦セミナーハウスで実施する、福井県立大学との合同セミナーは、十数年以上も続いている研究室の恒例行事で、両大学の学生どうしの親交を深めるのに大いに役立っています。

連絡先:第一実験室棟3階612研究室
E-mail:

 


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