平成30年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「重点テーマ」
重点テーマ・目的・期待する効果等
（1）テーマ
- 習熟度別クラスの実施および必修化が外れた基礎数学科目の実施状況の把握
- 情報理工学部新入生の傾向把握と対策検討（情報共有）
- 「コンピュータ理工学実験A・B」の改革の継続
（2）目的
- 基礎数学科目である「微分積分学I, II」および「線形代数学I, II」はH28年度までは理学部数理科学科の教員に担当を委ねていたが、H29年度からは本学部のスタッフが主任担当となって開講している。H30年度に新設された情報理工学部では、ほとんどのコースにおいて、基礎数学科目の単位取得が卒業要件における必修科目の設定から外れるため、履修動機の低下が懸念される。しかし、各コースの卒業要件となっている専門科目それぞれの理解のためには、基礎数学の習得が不可欠である。学生がこの事情を正しく理解していないと、コース選択後の専門科目履修の時点でつまずくリスクが高くなる。このため、1年次から学生の履修を啓蒙する働きかけが必要である。また、H30年度から「微分積分学I, II」は入学時での「数学基礎テスト」の成績に基づく習熟度別の3クラスに分けて教育を行う。これらの新たな変更により学生の基礎数学の修学姿勢にどのような変化が生じているのかを把握する。
- H30年度に新設された情報理工学部では、昨年度までのコンピュータ理工学部とは異なる受験生層が入学している可能性がある。また、情報理工学部ではコース制という新たな教育システムを導入している。これらの大きな変化が学部教育にどのような変化（利点、欠点）をもたらす可能性があるのかをスタッフ間で議論し、現状把握を継続的に行なっていく。
- 「コンピュータ理工学実験A・B」は次年度からは「情報理工学実験A・B」として継続される（以降では合わせて「学生実験」と総称する）。学生実験は2年次配当の通年必修科目であり、プログラミング演習科目群と合わせて学部の教育システムの根幹となっている。一方で、現在の「コンピュータ理工学実験A・B」は、前身の工学部情報通信工学科で行っていた実験テーマを基礎に再編したもの、新たに赴任したスタッフにより新規に開講された実験テーマが混在しており、内容、実験の目的、課題レポートの評価などが各テーマの担当者に一任されており、複数のテーマでの教育方針にばらつきが存在する。ある程度の多様性は必要であると考えるが、一方、履修学生に少なからずの混乱を生じさせていることが以前から授業アンケートなどで認識されている。学生実験の教育目的が、専門知識を学ぶための補助的、入門的な教材の提供であるのか、理系での一般的なレポート（報告書）の作成の方法を学ぶための実習であるのかに関しても、担当者の間で統一が取れていない状況である。近くに生じる教員の退職に伴う担当者の交代や新学部でのコース制と実験テーマの整合性など新たな検討項目も生じており、昨年度に引き続き検討を行う。全スタッフによる議論では対応策の決定に至るまでの時間が取れないため、今年度は一部のスタッフ（学生実験を担当しない教員も含めて）から組織されるワーキンググループを立ち上げて、複数の改善策をまとめて、教授会に答申して議論を促進することを予定している。
（3）期待する効果
- 新学部でのコース制教育において、専門科目の履修には基礎数学の習得が不可欠であることを学生及び教員に広く周知してもらう事で、学生がコース選択後に専門科目の履修の時点でつまずくリスクを減らす。基礎数学をベースとした専門科目との連携を各教員に意識してもらい、学部カリキュラム全体の体系の一貫性、整合性を向上させる。
- 新学部での新たな受験生層およびコース制の導入による変化（利点、欠点）を早期に把握して、今後の教育システムの改善および問題の防止に役立てることが出来る。
- 来年度は新学部カリキュラムで学ぶ学生が学生実験を履修する。コース制という専門分野を意識させる教育システムと多様なテーマ、多様な教育方針が混在している現行の学生実験とを有効に組み合わせて行けるのかを検討する。授業時間と教員の両方において多大な教育リソースを費やしている学生実験のより効果的な運用方法を議論することが出来る。