平成30年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「中間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

平成30年度は情報理工学部の新設に伴い、コンピュータ理工学部で1年次開講であった専門科目が情報理工学部での開講科目として登録が行われて学習成果実感調査が実施された。当該科目ではコンピュータ理工学部の再履修生も含まれるが、学部の区別なく、情報理工学部開講科目として一括して統計が行われている。今後、情報理工学部の完成年度までは、一部のコンピュータ理工学部開講科目の廃止および情報理工学部開講科目の新規開講が年次進行で行われるため、前年度との比較は必ずしも適切でない状況が継続する。

 

コンピュータ理工学部開講科目

学習成果実感調査は、対象科目数35科目(全履修者数3,129名)のうち34科目に対して実施(実施率:97.14%)した。また回答者数は1,591名であり、回答率は50.85%であった。なお、平成28年度および29年度は共に対象科目50科目に対して48科目の実施率96.00%であり、回答率はそれぞれ66.45%と62.18%であった。年々、回答率の低下が続いていたため、履修登録を行ったが授業に出席しない勉学意欲の低い学生の割合の増加が問題となっていた。しかし、今年度の大幅な回答率の低下は、対象科目から出席率の高い1年次開講科目(大部分は必修科目)が除外されたことが原因であると考える。実際、後述するように情報理工学部開講科目での回答率は79.88%という高い数値であった。これらの統計は、開講年次、必修・選択の違いなどを考慮せず、単純にすべての開講科目を一括して数値を算出することにより、多くの重要な特徴が見えなくなっている問題点を指摘している。
全科目における出席回数に関して、86%の学生が出席率80%以上であると回答している(昨年91%)。履修に関してシラバスを確認したかどうかに関する質問に対しては、85%の学生が確認したと回答している(昨年78%)。昨年度と比べて数値に若干の変動が存在するが、対象科目が異なるため、この変化から傾向を判断することは適切では無い。一昨年、昨年と連続して回収率の低下と出席率の上昇の傾向が生じていたことから、履修登録を行った学生の内、継続して授業に参加する集団と参加しない集団の二極化が進行していると考えた。学習成果実感調査が実施された学期後半に授業に参加している可能性が高い前者の集団のみが統計の対象となると考えると、回収率の低下と出席率およびシラバス確認率の上昇の相関は説明できる。今年度の回収率の大幅な低下は対象科目の変化が主たる要因であるため、履修生の二極化が今年度も継続しているのかどうかの判断は難しい。

情報理工学部開講科目

学習成果実感調査は、対象科目数16科目(全履修者数1,014名)のうち15科目に対して実施(実施率:93.75%)した。また回答者数は810名であり、回答率は79.88%であった。全科目における出席回数に関して、93%の学生が出席率80%以上であると回答している(コンピュータ理工学部開講科目では86%)。履修に関してシラバスを確認したかどうかに関する質問に対しては、71%の学生が確認したと回答している(コンピュータ理工学部開講科目では85%)。情報理工学部開講科目はコンピュータ理工学部開講科目と比べて、出席率は高いが、シラバスの確認の割合は低いことから、1年次においてはシラバスを確認する勉学意識の高い学生とシラバスを確認しない勉学意識の低い学生が未だ混在しており、後者の集団は必修科目にはとりあえず出席しているものと考えられる。これらの勉学意識の低い学生は2年次以降の選択科目への出席率の低い集団の予備軍である可能性が高いと予想され、初年次での意識改革が必要と思われる。

2.「公開授業&ワークショップ」についての成果報告

参加人数

①「公開授業」:「微分積分I」習熟度別3クラス
担当教員:瀬川典久先生、神貞介先生、中川義行先生
当初は7月5日(木)を予定していたが、大雨による全学休講のため翌週の7月12日(木)に延期して実施した。当日は中川義行先生が出張の為に休講となり、瀬川典久先生、神貞介先生のクラスのみの公開授業となった。参加人数は数名に留まった。
平成30年7月12日(木)3時限

②「ワークショップ」:7月11日(水)開催。「微分積分I」の公開授業の翌週の開催を予定し、公開授業参加の感想を基に議論を行う計画であったが、大雨による全学休講のため公開授業の実施前にワークショップを開催することになった。教員18名、教育支援研究開発センター事務室よりオブザーバー1名。

ワークショップでの意見交換内容

1.習熟度別クラスの実施および必修化が外れた基礎数学科目の実施状況の把握

  • 新学部生の履修姿勢に関して。選択必修を外した事での履修姿勢の変化。
  • 習熟度別クラスでの現状、問題点、改善策など「微分積分学I」。
  • 基礎数学を修得せず専門科目の履修へと進む新学部生により派生する問題の予測
    「微分積分I」の担当教員の瀬川典久先生より習熟度別クラスの現状報告。
    「線形代数I」の担当教員の赤岩香苗先生より出席者数の推移などの報告。

現在のところ、必修を外した事による出席率の低下などは見られない。今後は不合格者の再履修状況などを継続調査する必要がある。 情報理工学部での唯一の必修基礎数学科目となった「コンピュータのための数学」の担当教員の小林聡先生より現状報告。

2.「コンピュータ理工学実験A・B」の今後に関して

  • 現状の運用方法の説明
  • 担当教員の確保の問題

今年度末で担当者2名が退職され、来年度は担当者が不足する。現在のところ後任人事は認められていないため、現有スタッフの新規担当または非常勤講師の雇用で対応する必要がある。現有スタッフはすでにオーバーロード気味であるため、新規担当者の調整は学部スタッフ全員の授業負担バランスを十分に配慮する必要がある。現在3週で完了する実験テーマと6週で完了するテーマが混在しているが、来年度からはすべて3週で完結するテーマで統一する方向での調整が話し合われた。
コンピュータ理工学実験A・Bでレポートが提出できない学生が1割程度存在する。勉学に大きな支障がある学生に関して、コンピュータ理工学実験A・Bの担当者と基礎プログラミングIの担当者が現状報告を行った。

3.情報理工学部新入生の傾向把握と対策検討(情報共有)

  • コース選択、コース要件科目の履修に関して、想定される問題の把握時間切れとなり、議論できず。情報理工学部での学生のコース配属に関して、質疑が行われる。
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