総合生命科学部 生命科学セミナー開催(7月5日)

タンパク質動態研究所セミナー/第180回細胞生物学セミナー

矢原 一郎 先生(東京都医学総合研究所 特別客員研究員)

「適応応答と進化」

生物が環境変化に出あうと、新しいepigeneticな表現型を示す個体が現れ、新環境に適応した個体は、選択を経て、生き残る。適応的表現型をもつ個体を交配すると、同じ表現型を生むストレス応答系が子孫に伝わる。この時点では、子孫が適応的表現型を示すには、親が受けたものと同じストレス刺激が必要であるが、継代繁殖を繰り返すと、適応形質そのものが子孫に伝わるように変化する。Epigenetic応答は、epigeneticな因子とgeneticな因子が協同作用の結果であり、強いand/or多くのgenetic因子を有する生物個体は、より有効なepigenetic応答を示す。従って、適応表現型を示す個体同士の交配を繰り返し、生じた子孫を新環境による選択にさらすと、さらに強い、またより多くのgenetic因子を有する個体が優先的に選択される。これらのgenetic因子の強度と数が増えてくると、適応表現型の形成に必要なepigenetic因子の割合が減ってくる。そしてついには、epigenetic因子の関与なしに(ストレス刺激なしに)、新規適応表現型を示す場合が想定される。かくして、新環境に適応したpolygenic traitsを有する個体群が出現する。概略すると、選択される表現型を形成する遺伝子は、epigeneticallyに形成された表現型を示す個体に集積してくる。わかりやすく言えば、“Phenotypes first ! Followed by genes”となる。
本セミナーにおいて、上記のような仕組みが適応進化の一翼を担っていることを説明したい。
日時 2018年7月5日(木)16:00 ~17:30(15:45開場)
場所 京都産業大学 15号館1階15102セミナー室
交通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備考 事前申込不要・入場無料
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