総合生命科学部 生命科学セミナー開催(12月15日)

生物化学セミナー/タンパク質動態研究所セミナー

井澤 俊明 博士(ドイツ ミュンヘン大学)

「The mitoRQC pathway〜新生ミトコンドリアタンパク質の品質管理機構~」

ミトコンドリアは真核生物に必須のオルガネラである。ミトコンドリアタンパク質のほとんどは核のゲノムにコードされており、サイトゾルの翻訳系で合成され、ミトコンドリアへ取り込まれる。異常タンパク質のミトコンドリアへの蓄積はミトコンドリア機能の破綻を引き起こし、様々な疾患とも密接にかかわっている。真核生物にはリボソームの異常停止により生じた異常な新生ポリペプチド鎖を除去するリボソーム品質管理機構が備わっており、出芽酵母をモデルとして精力的に研究されている。サイトゾルタンパク質の場合、異常な新生ポリペプチド鎖はRqc2によるC末端への複数のアラニンとスレオニンの付加(CAT-tailing)、およびLtn1によるユビキチン化により、プロテアソームによって分解される。一方、ミトコンドリアタンパク質の場合、サイトゾルでの翻訳とミトコンドリアへの膜輸送が共役しているため、一部の異常な新生ポリペプチド鎖はサイトゾルでの分解を回避し、ミトコンドリアへと輸送されてしまう。それでは、このような異常タンパク質はどのように処理されるのであろうか?本講演では、サイトゾルでの分解が困難な新生ミトコンドリアタンパク質を処理する新規の品質管理機構について紹介したい。また、真核細胞が誕生した際にミトコンドリア共生の過程で生じたであろう一つの問題点と、真核細胞はそれをいかにして克服したかについても考察してみたい。
日時 2017年12月15日(金)16:30 ~(16:15開場)
場所 京都産業大学 16号館2階16203会議室
交通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備考 事前申込不要・入場無料
共催 JSPS 科研費15H05705 「ミトコンドリア生合成を司る細胞内統合的ネットワークの解明」
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