第163回細胞生物学セミナー 総合生命科学部 生命科学セミナー開催(2013.12.26)

日時 2013年12月26日(木)
16:00〜17:00
場所 京都産業大学 15号館1階 15102セミナー室
交通アクセス
世話人 京都産業大学 総合生命科学部 永田 和宏

【講師】村松 里衣子 博士

大阪大学大学院医学系研究科

【演題】中枢神経系の恒常性の破綻・維持を制御する分子細胞メカニズム

 脳と脊髄からなる中枢神経系は、末梢臓器から神経シグナルを受容し、その情報を変換して末梢臓器に発信することで、個体全体を安定な状態に保っている。しかし、炎症や外傷により脳脊髄が傷害されると、末梢との神経シグナル連絡が失われ、中枢神経機能の傷害のみならず全身に様々な症状があらわれる。症状を改善するには、中枢神経系を保護あるいは修復することが必要であるが、いかなる細胞がいかなる分子メカニズムで中枢神経系に影響するか、不明な点が多い。我々はこれまでに、多発席硬化症の実験動物モデルを用いて、炎症性細胞に発現するRGMaが神経組織を傷害するキー分子であることを報告してきた(Muramatsu, et al. Nature Medicine 2011)。一方、多発性硬化症では時間が経つにつれてわずかではあるが神経組織が自然に修復し、神経機能の改善がもたらされることが知られている。私たちは、病巣における旺盛な血管新生に神経回路の修復を促す働きが備わることを発見した(Muramatsu, et al. Nature Medicine 2012)。本セミナーでは、中枢神経系の恒常性の破綻・維持を担う細胞・分子機構の一部を紹介したい。

 
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