生命科学セミナー 開催(2013.07.22)
骨格筋幹細胞の自己複製の分子機構と血管ニッチ
(Self-renewal and vascular niche for skeletal muscle stem cell)
演者 | 朝倉 淳 博士 (ミネソタ大学医学部・幹細胞研究所・筋ジストロフィーセンター) |
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日時 | 2013年7月22日(月)15:00〜16:00 |
場所 | 京都産業大学 15号館1階 15102セミナー室 交通アクセス |
世話人 | 京都産業大学 総合生命科学部 生命システム学科 浜 千尋 |
主催 | 京都産業大学総合生命科学部 |
要旨
骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞は、筋再生に必須である。我々は、骨格筋細胞誘導転写因子であるMyoDがサテライト細胞の自己複製に対して抑制的に働いていること見出した。我々は、MyoD の機能を抑制する転写因子としてMASH4を同定した。MASH4 はMyoD を阻害することにより、細胞周期阻害因子のp21の発現を抑制し、サテライト細胞の自己複製を正に制御していた。さらに、p21の発現は、サテライト細胞の筋線維への分化を促進し幹細胞への自己複製を抑制していた。また最近、サテライト細胞の幹細胞ニッチとして血管系が注目されている。筋ジストロフィーにおける血管系の影響を解析する目的で、Flt-1 ヘテロ変異マウス(Flt-1+/-)とジストロフィン変異マウス(mdx)を掛け合わせ、mdx:Flt-1+/-マウスを作成した。Flt-1はVEGF の負のリセプターとして働き、mdx:Flt-1+/-マウスは血管密度が増加し、サテライト細胞の増加及び筋組織・機能の改善が観察された。実際に、抗体あるいはペプチドを用いてFlt-1 を阻害すると血管新生を誘導され、筋ジストロフィーマウスの症状が改善されていた。