生命科学セミナー 開催(2013.06.05)
ゼブラフィッシュの血管新生においてVegf シグナル依存的 ERK シグナルの活性化が血管細胞の独自性を制御する
演者 | 眞 昌寛氏(マサチューセッツ医科大学ウースター校;ポスドク研究員) |
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日時 | 2013年6月5日(水)15:00〜16:30 |
場所 | 京都産業大学 15号館1階 15102セミナー室 |
世話人 | 京都産業大学 総合生命科学部 八杉貞雄 |
共催 | 京都産業大学総合生命科学部 |
要旨
血管新生は既存の血管細胞から新たに血管が形成されることである。血管新生を司るVegf(血管内皮細胞成長因子)シグナルは拮抗して働くNotch シグナルとともに、適切な時期・場所に適切な数の血管細胞をリクルートし血管新生を制御する。このように1細胞単位でVegf シグナルを制御することで血管ネットワークが体の隅々まで構築される。これまで、培養血管細胞を用いてVegf チロシン型受容体下流で働く様々なシグナル経路が明らかにされているが、生体内の血管新生においていつどの細胞でどのシグナル経路が活性化さ れているかは明らかではない。そのため個々のシグナル経路の機能も不明なままである。
我々はゼブラフィッシュの血管新生をモデルとして、腹側大動脈(DA)から生じる体節間動脈 (SeA)の形成における分子制御機構と細胞の挙動を 詳細に解析している。今回のセミナーではVegf 受容体の下流で働くMAP キナーゼの1つ、ERK シグナルに着目し以下の疑問に答えていきたい。
- いつ、どこでERK シグナルが活性化されるか
- ERK シグナルの活性化はVegf シグナルに依存するか
- ERK シグナルの役割はなにか(細胞移動?増殖?遺伝子発現制御?)
- ERK シグナルとNotch シグナルの関係はどのようなものか