生命科学セミナー 開催(2012.06.15・29)

ヒト由来Gタンパク質共役型受容体の構造解析

演題 ヒト由来Gタンパク質共役型受容体の構造解析
演者 島村 達郎 博士
京都大学 医学研究科 講師
日時 2012年6月15日(金) 11時00分から12時00分
場所 15号館1階15102セミナー室
世話人 生命システム学科 横山 謙(075-705-3043)
共催 京都産業大学総合生命科学部
科学研究費助成事業 基盤研究(B)「構造・機能解析による回転分子モーターの起源の解明」

要旨

 G蛋白質共役型受容体(GPCR)は、細胞外からの情報伝達物質(リガンド)を受容し、その情報を細胞内に伝えるという生体に必須の役割を担っている。GPCRは多くの疾病に関与しており、市販薬の多くがGPCRを標的にしている。効果のある薬剤を効率よく開発するにはGPCRの立体構造情報が不可欠だが、2007年までは例外的に安定なGPCRであるロドプシンの構造が決定されているだけであった。しかし2007年以降は、β2アドレナリン受容体、ドーパミンD3受容体といったヒト由来のGPCRの構造が決定されている。我々は最近、花粉症などのアレルギーに関係し、抗ヒスタミン薬の標的となっているヒスタミンH1受容体と、パーキンソン病治療薬などの標的となるアデノシンA2a受容体の立体構造を決定した。本セミナーでは、これらの研究に用いたGPCRの構造解析の手法や、立体構造から明らかになった受容体の薬剤選択機構について報告する。

ATPを通して生命現象を眺める

演題 ATPを通して生命現象を眺める
演者 今村 博臣 博士
京都大学 白眉センター 准教授
日時 2012年6月29日(金) 11時00分から12時00分
場所 15号館1階15102セミナー室
世話人 生命システム学科 横山 謙(075-705-3043)
共催 京都産業大学総合生命科学部
科学研究費助成事業 基盤研究(B)「構造・機能解析による回転分子モーターの起源の解明」

要旨

 以前は、ATPは細胞の内部で常に一定量存在するという考え方が支配的でした。ところが、最近になってATPが細胞内のエネルギーとしての働きだけでなく、細胞内外で情報を伝えるシグナルとしての働いているらしいことがわかってきました。このことは、細胞の内外でATP量がダイナミックに変化していることを意味しています。ところが、生きたままの生物の内部でATPがどのように分布し、どのように変化するかはこれまでほとんどわかっていませんでした。本セミナーでは、ATPの働きを概観した後、演者らが開発した細胞内ATP可視化技術とそれを用いた研究をご紹介します。

 
PAGE TOP