総合生命科学部 第3・4回バイオフォーラム開催報告

 平成23年8月22日(月)、9月21日(水)に本学15号館15102セミナー室にて第3・4回バイオフォーラムを開催し、各テーマに沿っての発表が行われ、講演後は活発な議論が行われました(※要旨等の詳細は下記参照)。 バイオフォーラムは、学内外問わずに生命科学分野の第一線でご活躍されている先生に講演いただき、参加者の方に最先端の研究に触れていただくことを目的として開催しています。 昨年度に引き続き、本年度も10回以上の開催を計画しております。詳細が決まり次第、本学HPへ情報公開しますので、ぜひご参加いただければ幸いです。

第3回

8月22日(月)開催

演題

「Evolution of questions about protein import channel」

講師

Associate Professor, Department of Plant Science, Universityof California, Davis
井上 健太郎 氏

要旨

 葉緑体は植物の生育に必須の細胞内小器官である。葉緑体の発生には様々な蛋白質の葉緑体への輸送が必要である。Toc75は葉緑体の外膜で蛋白質輸送チャネルとしてはたらいている。Toc75は核ゲノムにコードされており、細胞質で翻訳された後、葉緑体の外膜へ輸送されるが、そのメカニズムについては不明な点が多かった。私達は、Toc75のポリグリシン鎖が葉緑体への輸送に必須であり、また、チラコイドに存在するペプチダーゼがToc75のプロセシングに重要であることを明らかにした。また、シロイヌナズナのToc75やそのホモログが胚発生に重要であることを明らかにした。葉緑体は、シアノバクテリアなど光合成を行う細菌の細胞内共生により誕生した。細胞内共生の過程でシアノバクテリア由来の遺伝子のほとんどは核ゲノムに移行しており、葉緑体に局在する蛋白質のほとんどが核にコードされている遺伝子に由来している。したがって、葉緑体の進化の過程では、蛋白質を葉緑体内に運搬するためのメカニズムを獲得することが特に重要であったと考えられている。Toc75などの蛋白質輸送チャネルの機能を明らかにしていくことで、葉緑体の進化や発生のメカニズムの解明につながると考えられる。

第4回(1)

9月21日(水)開催

講師

Senior Group Leader Hubrecht Institute for Developmental biology and stem cell research
Catherine Rabouille 氏

演題

「Modulation of secretion by signaling.」

要旨

 ほ乳類もショウジョウバエもそのタンパク質分泌経路の基本的機構は同じである。分泌タンパク質のほとんどは、小胞体で合成された後にゴルジ体で糖鎖の組み替えなどの修飾を受けた後細胞膜へと移動して細胞外に放出されるが、ラブイユ博士らは、最近、ショウジョウバエでは一部のタンパク質が、ゴルジ体を経由する事なく小胞体から細胞膜へと直接輸送される事を見いだした。さらなる研究からこの特異な分泌経路はショウジョウバエだけでなくほ乳類の細胞でもみられる事、またそれが発生にともなう細胞の分極や上皮形成に大変重要であることを発見した。また、この分泌経路にはGRASP65と呼ばれるタンパク質が重要な働きをしていることも発見した。

第4回(2)

講師

Professor The Hong Kong University of Science and Technology (HKUST)
David K Banfield 氏

演題

「Mechanisms of Protein retention in the Golgi」

要旨

 ゴルジ体に局在する事が知られているタンパク質の多くは、II型の膜貫通タンパク質で、またそのほとんどが糖転移酵素群である。糖転移酵素群のゴルジ体への局在化機構は、1980年代から活発な研究が展開されてきおり、糖転移酵素群の膜貫通部分がその分子の局在を決定するという有力な説がある一方、細胞質部分が働いているなどの説もあり、未だに多くの謎が残されている。バンフィールド教授は、酵母のVps74pが糖転移酵素の細胞質部分を認識して、ゴルジ体から小胞体に向けての逆行輸送を促進することによって、分泌経路の下流へ向けての分泌タンパク質の流れから糖転移酵素を分離してゴルジ体にとどめている事を発見した。

 
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