総合生命科学部 第8回バイオフォーラム開催報告

  平成22年11月24日(水)に本学15号館15102セミナー室にて、第8回バイオフォーラムを開催しました(要旨は下記参照)。今回の講師は、「転写のバイオロジー」と題し、総合生命科学部生命システム学科の嶋本伸雄教授が担当しました。

 バイオフォーラムは、学内外問わずに生命科学分野の第一線でご活躍されている先生に講演いただき、参加者の方に最先端の研究に触れていただくことを目的として、開催しております。今回も講演終了後に盛んな質疑応答がなされ、盛況のうちに閉会することができました。

 なお、12月17日(金)には第9回バイオフォーラムの開催を予定しています。こちらの方もふるってご参加いただければ幸いです。

講演要旨

 転写のナノバイオロジーの研究のパートナーとして参加した大学院生の研究の紹介を中心に、転写機構の分子論的研究の発展を説明しました。

 ナノバイオロジーという分野を確立する代表的なターゲットとして、タンパク質のDNA上のslidingの有無をまず選び、1分子ダイナミクスを駆使して、その存在を証明しました。その後、非論理的な解釈が蔓延しはじめたので、slidingの十分条件であるgroove trackingの存在を証明し、タンパク質は人間がするように、DNA塩基を連続的に読みうることを明らかにしました。多くの因子が関与する複製や翻訳に比べると、転写は、多くの機能がRNA polymeraseに凝集されています。転写複合体の機構論をとおして、安易に仮定されていた機構を再検討し、転写開始の分子機構の解明を行いました。当時、RNA伸長に失敗した前駆体と考えられていたabortive transcriptsを、転写開始でおこるabortive専用の開始複合体の産物であることを明らかにして、この分岐回路が大腸菌の転写調節に貢献していることを証明しました。また、この同じ機構が、promoter中のpyrimidine dimerをUV-sensor として用いて、UV-damage時に、転写のshut-offに関与できることを明らかにしました。さらにcyanobacteriaとE. coliの比較生物学から、ピロリン酸や基質NTPへの感受性を変化させて、RNA伸長速度とfidelityのtrading-offを変化させて各々の環境に適応していることを発見しました。

 
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