祇園祭を未来へつなごう!京都文化への理解を深めよう!

千年以上の伝統ある祇園祭、学生が運営に参加するユニークな取り組み。

小林文化学部には、日本三大祭りのひとつである祇園祭の運営に参加する「京都文化フィールド演習」という授業があります。高岡さんは、この授業で初めて祇園祭に参加したそうだけど、その感想は?

高岡祇園祭の良さを改めて実感できました。祭りに参加する前に大学で、祇園祭の歴史や由来、山鉾の特色について深く学びました。私たちは、祇園祭の期間中、ちまきを販売したのですが、ちまきには「厄除のお守り」の意味があり、これまで知らなかった文化的側面も学べました。

小林そもそも祇園祭は、神に疫病を鎮めてもらおうとしたのが始まりと言われていますからね。授業では、山鉾のひとつである函谷鉾(かんこぼこ)チームの一員として学生が運営に参加しました。おそらく史上初かつ世界初のユニークな取り組みでしょう。

高岡はい。私たちが運営した函谷鉾は、数ある山鉾のなかでも長刀鉾(なぎなたほこ)と並ぶ花形の鉾。「動く美術館」とも呼ばれ、粋を集めた美しい工芸品は見所も満載でした。

小林祇園祭を見る側ではなく、運営する側を経験して、どうでしたか?

高岡千年以上の伝統を持つ祇園祭に携わることができ、鉾建て※や曳き初め※にも参加できるなんて貴重な経験だと思います。私はちまきを販売したほか、函谷鉾に上がって見学する観光客への対応などをしました。汗だくになりながら、ちまきも完売したんですよ。

小林それは、すごい。みんな朝早くから夜遅くまで、自分の役割を全うしました。函谷鉾の方々も「京都産大生みんながキラキラして、日々成長している」とおっしゃってくださり、私も非常にうれしく誇りに思いました。

小林祇園祭期間中におけるの2週間の演習で、全員が見違えるほど成長したと思います。責任感や達成感など、いろいろな気持ちがこみ上げてきたのか、宵山の最後では感動して涙を流す学生が多かったですね。それだけ、中身の濃い体験だったのだと思います。

京都の街を舞台に学ぶ「使える文化学」で、実社会で役立つ力を身に付けよう。

高岡今回の祇園祭で、どちらかというと消極的な性格だった私が、むしろ積極的に変わったと思います。また同じ目的に向かって人と協力し合い、誰かのために行動しようとする意識も生まれました。

小林現場を体験することは、机上では得られない様々な学びと発見につながります。高岡さんも実際にフィールドに出て、自分の可能性に気づくことができたんだと思うよ。

高岡気づきと言えば、今まで祇園祭は華やかなイメージしかありませんでしたが、今回それ以上に祭りを支える「人間力」を感じました。地域の方をはじめ、多くの人の「もっと祭りを盛り上げたい」といった想いや頑張りに支えられているんだな、と。

小林いいところに気づきましたね。実際に現場に行かないと見えないことがあります。祇園祭は、ユネスコ無形文化遺産にも登録され、世界的にも注目を集めています。しかし、現在はその地域の住民が減ってしまい、運営面での課題も抱えています。京都は、学生の街。文化を継承する上でも、学生の若さや行動力を、地域の方々は歓迎してくれていますよ。

高岡はい、函谷鉾の方々の「ありがとう」という言葉が励みになりました。

小林「机上だけの文化学」ではなく、私が教えたいのは「使える文化学」です。今回、卒業後に社会に出て必ず必要となる「ハプニングでの対応力」や「チームで解決する力」も身に付いたと思います。そして、京都には、「ほんまもん」が集まっています。「ほんまもん」に触れて、「五感」を使って感じ取る。京都で、文化を学ぶ魅力はそこにあります。

小林文化学部は、祇園祭の他にも、キャンパスを出て京都の街で「気づき」を与えるプログラムを豊富に用意しています。自分は何が好きで、何が得意か、そして、人や社会とどう関わるか。高岡さんも、京都で文化を通じて、社会に活かせる力をより一層磨いてほしいと思います。

文化学部教授 小林 一彦
文化学部教授 小林 一彦
京都で文化を学ぶ魅力は、「ほんまもん」に触れて、「五感」で感じ取ること。
文化学部国際文化学科1年 高岡 海瑠さん
文化学部国際文化学科1年 高岡 海瑠さん
自分の「可能性」、祭を支える「人間力」と、気づきがいっぱいでした。

※鉾建て…鉾の組み立て ※曳き初め…鉾の試運転

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