■オープンリサーチセンター(ORC)の研究会

2003.11.29

 文部科学省のオープンリサーチセンター(ORC)(平成13〜17年度)に選定されている本学経済学部の「オープンリサーチセンター研究成果等公開型プロジェクト(代表:寺町信雄経済学部教授)」の研究会とシンポジウムが下記の通り開かれた。

●市場経済論関係資料のデジタル化による管理と公開(代表・塘 茂樹・経済学部教授)
11月29日(土)、キャンパスプラザ京都五階会議室でシンポジウム「経済学古典文献の電子図書館構想」と題して塘教授と橋本 比登志・教授が共同報告した。
 この研究プロジェクトは、近代経済学における市場経済論に関わる学説の形成史に関わるものである。特にWicksell(ヴィクセル)並びにオーストリア学派の経済学者の「市場経済をめぐる公刊著作のデジタル化と公開」をすすめている。これまでWeb上で公開に至った文献はWEBCATで検索すれば、容易に確認できるように、日本の大学図書館に所蔵されていないものも含まれる。「今後このような形で経済学の古典のテクストが公開され、それを前提とした活発な討論や研究成果のあがることを期待する」と述べた。
暫定的ホームページアドレス:/~tomo/ORCtop.htm
●中国経済プロジェクト(代表・岡本光治・経済学部教授)ワークショップ
12月3日(水)、第3研究室棟3階会議室で(株)UFJ研究所調査部の鈴木貴元さんを招いて、中国経済プロジェクトのワークショップを開催した。「中国の最近のマーケット事情—中国経済の現状・先行きと流通・物流の現実を中心にして−」と題して、鈴木さんの基調報告が行われた。「SARSの影響にも関わらず中国経済の回復は底堅く、今年9月までのGDP成長率は8.2%に達している」。明るい成長率に対する今後の課題として◇「非効率な投資」の削減と、不良債権の迅速な処理◇経済運営上のガバナンス問題(地方政府、金融機関、企業のどこが統一的に管理するのか)◇依然として広がる地域間経済格差◇エネルギーと環境の問題、台湾問題、民主化問題などがある。鈴木さんは「中国政府は具体的な解決策を早く提示する政治的責務を負っている」と結んだ。
●地域経済グループプロジェクト(代表・小川喜弘・経済学部長)
 12月6日(土)、12号館502教室でシンポジウム「地域分権時代の地域経済活性化」を開催。基調講演および司会は小川教授。パネーとして、並松信久・経済学部教授(農業問題)、柿野欽吾・経済学部教授(近畿地域)のほか、他大学の教授や研究所の研究員らが参加した。
 小川教授によると、わが国の地域間の経済格差は、よりよい労働条件・生活環境を求める人口移動を誘発し、拡大傾向にある。産業構造転換、財政危機、少子・高齢化の進行とともに地域経済格差問題は今後、日本経済全体の発展にとって、ボトルネックになりつつある。政府は地方分権を進め、地域間格差の解消をめざしている。シンポジウムでは、これらの問題について、「マクロ経済制約の下での地域経済活性化」に視点を据えて模索した。
※本プロジェクトは、文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業の一つであるオープンリサーチセンター(ORC)整備事業の対象として選定を受け、平成13年11月から活動を開始(平成17年3月まで)している。本プロジェクトは別にORC整備事業の「実験経済学」プロジェクトとともに本学大学院経済学研究科の研究活動に積極的に貢献している。

市場経済論関係資料のデジタル化で共同発表した塘教授(左)と橋本教授
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