■公開セミナー「高圧下での結晶・アモルファス相転移」

2002.09.18

インドの実験物理学者アローラ博士による公開セミナーが、 9月18日、 理学部会議室で開かれた。 同博士は、 インデラ・ガンジー原子研究センター物質科学部門の教授で 「新しい物質の相転移」 に関する実験で世界をリードする研究者である。
 相転移は、 水 (液体) が氷 (固体:結晶) になったり水蒸気 (気体) になったりするように、 物質が状態を変化させる物理現象であり、 物理学の主要な研究テーマの一つである。 通常の相転移では、 物質の状態は変化しても、 物質を構成する分子構造そのものは変化しない。 ところが、 アローラ博士は、 高圧下で結晶状態からアモルファス (非結晶質) 状態への相転移を研究する過程で、 その分子構造が変化する一群の物質を見いだした。 これは、 相転移の研究にとって画期的な発見である。 実験は、 インドのお家芸ともいえる光学実験の優れた技術を駆使して行われた。
 セミナーには、 理学部および工学部の教員と大学院生が多数参加した。 曽我見理学部長の司会でアローラ博士の研究成果をめぐって活発な討論が行われた。
 本学の理学部は、 アローラ博士のグループと極めて緊密な協力関係にある。 それは、 アメリカ物理学会誌に掲載された博士の論文 「固相・液相の再相転移の研究」 が、 理学部と京大工学部でなされた共同研究 「巨大イオン溶液中の有効相互作用」 の理論を実証するものであったからである。 わが大学とアローラ博士のグループとの研究交流は、 今後も益々発展することが期待される。
相転移について発表するアローラ博士
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