後期人権教育啓発講演会

2011.12.14

 12月14日、京都産業大学人権委員会主催の平成23年度後期人権教育啓発講演会「『生きるに値しない生命』とは誰のことか−ナチ・ドイツの障害者『安楽死』政策から考える」が神山ホール第1セミナー室で開催された。セミナーには、学生、教職員、一般の70人が参加した。

 始めに、柴孝夫 人権委員会委員長は「今年は3月11日の東日本大震災が発生したことで、人と人とのつながりや絆の大切さを改めて感じる年となった。そして、命の大切さを誰もが身にしみて感じたことだろう。この人権教育啓発講演会を通して、もっともっと命のこと、人権のことを考えてほしい」と挨拶した。

 講師の経営学部 中野智世 准教授は、社会における人種・民族の「品種改良」を目指して行われた断種政策について、19世紀初期にアメリカで始まり、その後ヨーロッパ各地でも広まったことを紹介した。断種政策とは、劣悪な遺伝を絶ち、優秀な遺伝を促進するために、劣悪な遺伝と見なされた障害者や先住民、犯罪者等を対象に、強制的不妊手術を施す政策のことである。ドイツでも初めは強制的不妊手術が行われていたが、後にヒトラーから『安楽死命令』が下り、劣悪な遺伝を持つとされた人々はガス室に閉じ込められ殺されたと、当時の恐ろしい政策について説明した。

 中野准教授は「『安楽死』とは本来やすらかな良き死を意味する。ドイツで行われた『安楽死』は殺人。『断種』あるいは『安楽死命令』から生き残った人々は、その生々しい記憶を後世に残そうとしたが、ながらく顧みられないままであった」と話した。セミナーの後半には、活発な質疑応答が行われた。
「断種政策」の恐ろしさを語る中野准教授
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